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夏休み 20

 東京駅に着くと、俺達はすぐにタクシー乗り場に並び、どこにも寄らずにマンションに帰った。 キスがしたい、抱きしめあいたい、触れ合いたい……俺の頭のなかはその事でいっぱいだった。  マンション着くと玄関を開け、なだれ込むように家の中に入った。荷物を居間に置いた後、俺達は抱きしめあい深いキスをした。  それから唇を離してから、鷹人の手を引きベッドルームに行こうとした。すると、鷹人のポケットからメールの着信音が微かに聞こえてきた。 「メールじゃない?」  俺がそう言ったけど、鷹人はスマホの電源を切ってサイドテーブルに置いてしまった。 「後で良いよ。早く」  服を脱ぎ捨て、俺達は数ヶ月ぶりに思いきり抱き合った。久しぶりだったせいで、鷹人を受け入れるのが少し辛かったけど、何だかお互い新鮮な気持ちで抱き合えた。 「ねぇ、メール。仕事のかもよ?」  抱き合った後ベッドでのんびりしていると、俺は急に鷹人のスマホにメールが来ていたことを思い出してしまい、ベッドに転がったまま手を伸ばし、テーブルの上のスマホを掴んで鷹人に手渡した。 「うーん。何だろう?」  鷹人がだるそうにそう言って俺の手にキスをしてからスマホを受け取った。 「ん? あ、美弥子からだ。あぁ、写真か……」  そう言ったまま、鷹人は口をポカンと開けてフリーズしていた。 何だろうと思って鷹人の手元を覗き込むと、スマホの画面にはカラフルなハートに囲まれた俺と鷹人の写真があった。 そして、「鷹人兄さん、瞬兄さん、いつまでもお幸せに! 愛する妹・美弥子より」というメッセージがついていたのだ。 「瞬兄さんって……これって、ばれてる?」  鷹人の顔を見てそう聞くと、鷹人が苦笑いしながら「そうみたいだね……」と答えた。  追伸があったので読んでみると「二人の仲を応援しています!」と書いてあった。  女の勘ってすごいよな……。っていうか、なんかバレるような発言したっけ――? 「まぁ、味方が増えて良かったってことで……良いか」 「そうだね……」  それから俺達は仕切りなおしのキスをした。  荷物の整理は後にすることにして、とりあえずシャワーを浴びて、風呂場でもう一回かな? 「ね、鷹人君。シャワー浴びたいんですけど」  俺がそう言うと、鷹人が眉を潜めた。 「鷹人君とか……って何だか妙に他人行儀だね?」 「あはは。新鮮で良いでしょ? とにかくベトベトだから、一緒にシャワー浴びよ。それから……もう一度いかがですか……?」  俺は、すっかりリラックスしている鷹人の股間にスッと手を伸ばした。 「瞬さんは本当にお好きですねー」  鷹人がおどけたようにそう言ってから、俺の体をギュッと抱きしめた。俺の体も鷹人の体も、お互いを求めているじゃないか。 「うん、困っちゃうくらい大好きなんだよね、鷹人のことが……」  鷹人、たくさんの愛をありがとう。そして、これからもずっとよろしくな……。  君の家族になれて……本当に良かったと思うよ。 おわり。

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