「あ、ゴメン、良孝。あのな、俺と瞬は恋人というか……男女で言う結婚って意味で一緒に住んでいるんだよ」 　良孝の方を向いてから鷹人がそういった。俺は鷹人の隣で、良孝がなんと答えるのか不安に思いながら待っていた。 「……えっと……正直、驚いてるって言うか……」 　良孝が、かすかに眉間にしわをよせながらそう言った。 「……正直な気持ちを言ってくれて良いよ」 「いや、その……驚いたってしか言えないです」 　良孝がそう言ったまま俺の顔をしばらく眺めていた。 「あ、鷹人兄さん……」 　しばらく黙っていた良孝が、急に思い出したように鷹人の名前を呼んだ。 「ん、なに？」 「あの……母さんは……父さん達はこのことは……？」 　良孝が心配そうに鷹人の顔を覗きこんだ。 「あぁ、知ってる。父さんも母さんも応援してくれると言ってくれたよ」 　鷹人がそう答えると、良孝が安心したような顔をした。 「そっか……それなら良かった。言ってくれてありがとう、兄さん」 「良孝はどう思った？」 　鷹人がたずねると、良孝は困ったようにはにかんだ。 「最近は珍しくないと思うよ、でも、実際に身近には同性婚の人が居ないから、やっぱり衝撃的というか……ね。それに、俺は平気だけど、父さんや母さんはなんて思うだろう？　って真っ先に思った。まぁ、母さんは職業柄色んな人を見ているから、父さんよりは免疫があると思うけどさ……」 「衝撃的か……まぁ、そうなのかもな。でも、俺達はお互いに必要な存在でさ、とても純粋に惹かれあってる。父さんと母さんには、それをわかってもらえて良かったと思うよ。話す前は心配だったけど、すぐに認めてくれたから、本当にほっとしたよ」 「さすが父さんと母さんだね……。俺、メチャメチャ驚いたけど、でも鷹人兄さんも瞬さんも憧れの人だから……なんていうのかな、ホントに嬉しいよ」 「そうか……嬉しいか……。ありがとう」 　鷹人がホッとしたようにそう言った。俺は体中の力が一気に抜けたような感じだった。 「俺も嬉しいよ、良孝。ありがとう」 「ありがとう、良考君」 　俺と鷹人はそろって頭を下げた。 　良孝に俺達の関係を知らせることについては、かなり不安もあったけど、「憧れの人だから、嬉しい」とまで言ってもらえたなんて、感慨無量だ。 「ん、あれれ？　そうか、そうだったんだ？」 　ホッとしていた矢先、良孝が急に変な声を上げた。 「どうかした？」 　鷹人が聞くと、良孝が首をひねりながら何か呟き始めた。 「もしかして……美弥子は知ってた？……だからあんな写真撮れたのか……」 　良孝は顔を上げて、鷹人の方を見た。