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あいつがやって来た! 9

「ちょと、鷹人……何してんのさ?」  そりゃ、キス以上のことをしたいと思っていたけれど――。 「ん? だって瞬はこうして欲しくて部屋に行こうって言ったんでしょ?」  鷹人が少し意地悪な言い方をした。 「違うといえば嘘になるなぁ……でも、そこまでは考えてなかったよ。ただ……こうやってキスしたり抱きしめあったり……」  俺が話している途中で鷹人が俺のジーパンのチャックをあけ、ボクサーパンツの上からヤワヤワと股間を撫でまわした。急に与えられた刺激に俺は思わずキュッと目を瞑った。 「鷹人、ダメだって」 「ダメじゃないでしょ。すぐに元気になっちゃったよ」  鷹人がからかうような言い方をした。鷹人って、時々言い方がエロおやじになるんだよな。まぁ、嫌いじゃないけど。 「酷いなぁ……」 「ゴメンゴメン」  鷹人の膝の上で刺激を与えられていた俺は、堪らなくなってしまって鷹人の目をジッと見つめた。鷹人も同じ気持ちだというのは、その目を見ればわかる。 「決めた。もう、やっちゃおうぜ……」  俺はパッと立ち上がって、ジーパンを脱ごうとした。 「え……」  鷹人が躊躇したように時計に目をやった。サチが帰ると言っていた時刻まで、まだ時間がある……話し好きのあいつだから、時間ギリギリまで帰らないだろう。  それに次の予定は仕事ではないし――と、自分の都合の良いように考えてしまうのは、やりたくて仕方ないからだ。 「鷹人は脱がなくて良いよ。俺がこれだけ脱いで跨るから……」  体が熱くなって少し声が上ずってしまう。ちょっと滑稽な姿かも知れないと頭の片隅では思っているんだけど、どうしても我慢が――。  と、その時。 コンコンコン――  俺が鷹人の返事を待たずにジーパンを脱ごうとしていると、突然、部屋のドアがノックされた。 「兄さん? サチさんがちょっと……」  良孝の遠慮がちな声が聞こえてきた。  何だろう?……帰るって言ってた時間は、まだだと思うんだけど――。 「部屋の奥に行ってて」と鷹人が小声で言った。  俺が奥の机の所に行くのを確認しながら、鷹人がドアに向かって「はい」と返事をした。  中途半端に熱くなった体をもてあましたまま俺は、ジーパンをはきなおし、ノートパソコンの画面を見つめながら曲作りしているふりをした。  鷹人がドアを開けると、賑やかなサチの声が聞こえてきた。 「あのさ、今から楽器屋に行ってきたいと思うんだけど――」  いきなりサチがそんなことを言い出した。 「えっと――それは、良考と……」  鷹人が困ったような声で言葉を続けようとした。  サチの奴、また勝手に話を進めようとしているんじゃないか? 「そう。話が盛り上がっちゃってさ、渡辺さん達が良孝に用事がなければ、良孝を一緒に連れて行きたいと思って」

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