6 / 132
4話
『先程、死の直前にしか戻すことができない。
そう言いました。
...ですが、本当はもう一つあるのです。』
「もう、ひとつ...?」
『それは、運命を紡ぎ過去の世界にあなたをおくることです...。
しかし、過去といっても私たちの力ではせいぜい《6年》が精一杯です...申し訳ありません。』
「6年前...」
6年前は...高校1年生になる前。
あの人に片想いしていた時...
戻っても、僕が近づかなければいいだけ...
好きにならなければいい...ただそれだけ。
『吉永様、あなたには選ぶ権利があります。
この選択はあなたの運命を大きく左右する
でしょう...
死の直前に戻れば前のような幸せな日々が
あるかもしれません。
過去に戻れば、あの頃の出来事も無くなって
しまいます。
それでも、過去に戻りますか?』
「...っ..もう...あんな想いしたく
ないんです...。
あの人を...これ以上...嫌いになりたくないんです...。
だから...僕をっ..過去におくってください...お願いします...。」
これが、僕の率直な気持ちだった。
直接、あなたから望まない答えが返ってきたら
僕はもう生きてはいけない...
大好きだったから、愛していたから...。
『...分かりました。
それから、あなたを過去に送る前に2つ約束
して欲しいことがあります...
それは...1つ目は過去を大きく変えてはいけない。2つ目は過去の人にあなたの正体を明かしてはいけない。ということです。
この約束を守らなければ、他の人の運命を大きく変えてしまうでしょう...人生を変えてしまう危険もあります。
それに...明かしてしまえば、あなたの魂は
永遠にさまようことになるでしょう...
この約束を守れますか?』
「...はい...」
どうせ、話す人なんていない...
『『『それでは...あなたの願い...
この三女神モイライが聞き入れました。
この扉を開け、進みなさい。』』』
三女神さんたちが指す方を見ると、キラキラ
と光輝く扉があった。
『『『さぁ、早く...』』』
「...はい。」
僕は扉を開け、一歩踏み出した...
『『『運命とは、良くも悪くも簡単には
振り払えないものです。
それをお忘れなきよう......』』』
三女神さんたちの最後の言葉を背に向けて..
僕はまた、歩き出した...
ともだちにシェアしよう!