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5話

チュンチュン... 「...ン......ン...」 ゆっくりと目を開けるといつもと変わらない自分の部屋の天井が目に入った。 「あれは、夢?」 あー、僕は長い夢を見ていたんだ... でも、確かに僕は車に轢かれたはずなのに なんで生きてるんだ? 【ガチャ...】 「...母さん...」 母さんを見つけた瞬間抱きついた... 「あら、羽瑠おはよう。 急に、どうしたの...」 「...ううん。なんでもないよ... なんか、夢を見てたみたい... すごーく長い夢を...」 夢だったとしても、母さんを一人にしよう とした親不孝者の僕を許して... 「あら、まぁ。夢ねぇ... 大丈夫よ...羽瑠にはお母さんがついてるわ...」 【トン、トン、トン...】 そう言って、母さんは優しく、僕の背中を 叩いてくれた... 「うん...」 「っさ!朝ご飯にしましょう! お母さん、お腹がすいちゃったわ笑 羽瑠!テレビつけて!」 「はーい笑」 【ピッ】 「え...」 テレビをつけて驚いた... だって、テレビのニュースには2014年4月2日ってかいてあったから。 「夢じゃなかった...」 「どうしたの...羽瑠?」 「か、母さん!僕いくつだっけ!」 「15歳よ...この間誕生日パーティー したばっかりじゃない...何言ってるの?」 「も、戻ってる...」 「え?」 「ううん...そ...そうだよね... ちょっと勉強してくる!」 「ちょっと!羽瑠!朝ごはんは!?」 「あとで、あとで食べる!!」 【バタバタバタ...ガチャン】 僕は勢いよく階段を上がって自分の部屋に 入った。 テーブルの上の鏡を見た。 そこには少し幼い僕の顔が映っていた。 「夢じゃなかった...本当に過去に戻ったんだ...」 他に何か無いか確認してみたけど、 壱哉さんから貰ったアンクレットと指輪以外6年前と一緒だった。 やっと、状況を理解できた僕は来週の入学式に 向けて準備を始めた... 入学式まで1週間もない... 僕にはやらなきゃいけない事が沢山あった。 同じ運命を歩まないように...

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