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12話

生徒会が登壇し、席に着いた瞬間。 タイミングよく、入学式が始まった。 《それではこれより、平成26年度九条学園 高等学校入学式をとり行います。》 順調に式は進んでいき、僕の番が来た。 《新入生代表挨拶、1年吉永羽瑠》 「はい。」 名前を呼ばれ、僕はマイクに向かって 歩き出した... この体育館にいる全員の視線が僕に集まっているのが嫌でも分かる。 せめてもの救いは、登壇しなくて済んだこと。 マイクの前に立ち、早く終わらせようそう思って読み始めた... 「本日は、私達新入生の為にこのような盛大な式を挙げて頂き誠にありがとうございます。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー これからこの九条学園高等学校で共に学ぶこの仲間たちと共に、一歩一歩確実に立派な大人になれるよう精進していきたいと思います。...」 あと一段落で読み終わるそんな時だった... 「おい。」 聞き覚えのある。低く響く声... 誰が発したのか、すぐにわかった。 「目障りだ。失せろ。」 何が気に食わなかったのか、 僕には分からない... けど、容赦なくその言葉は心に突き刺さる。 「聞こえなかったか?...失せろ。」 「ビクッ...」 声も出なかった。 怖いんじゃなくて、ただ悲しかったんだ... 「壱哉。もうそこまでに...」 レオ先輩が壱哉さんを止めに来た時、 僕の中で何かが溢れ出した。 まさか、こんな簡単に過去が変わってしまう なんて... 「...っ...っすみません...」 耐えられなくて、 僕はその場から走り出した...

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