40 / 132

18話

僕は荒くなる呼吸を必死で整えながら、 ケータイの電源を落とした。 「誰だ...」 クローゼットの中だから、 壱哉さんの顔なんて見えるわけないのに... 声だけで怒っているのが分かった... 僕は口を押え、息を潜めた。 『くぅ、じょうさまぁ... 早くぅ、続きをしましょうよぉ...』 そんな、声が聞こえても 僕は口を塞ぎ息を潜めた... でも、とめどなく溢れる、 悲しみを僕は抑えることが出来なかった... 「でてけ...」 壱哉さんの一言に、バレたのかと思った。 背中に汗が伝う... 『えっ...』 言われたのは僕。 ではなく、知らない生徒の事だった。 「ヤる気分じゃない。 だから、出ていけ。」 『そ、そんなぁ... 今日は僕とヤってくれるって...』 「何度も言わせるな。 俺は、出て行けと言った。」 ドスの効いた声が広い部屋に響く。

ともだちにシェアしよう!