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19話
バタバタバタッ...バタンッ
知らない生徒が部屋を出ていったのが分かった。
僕は、少し安堵していた...
「どこにいるか分かってる。早く出てこい。」
壱哉さんの声に心がドキリッと音を立てる。
はったりではないかと、
クローゼットの隙間から覗いてみると
壱哉さんがこっちを見ているのが分かった。
「出てこないなら、無理やりにでも
引きずり出すからな...」
やばい、どうしよう。
ここでバレたらダメだ。
僕は必死に過去の記憶を思い出していた。
「...!!」
思い出した!
僕はクローゼットの奥に行き、
壁に飾ってある大きな絵ををどかした...
絵をどかすと...扉が現れた。
「やっぱりあった...」
そう、このクローゼットには、隠し扉がある。
これは、空き教室につながっている。
なんでも、1個前の生徒会長と庶民の特待生が
恋人関係で周りに気付かれずに行き来しやすい
ように作られたらしいけど...
まぁ、詳しいことはよく分からない。
この扉はレオが教えてくれたんだよね...
教えてもらったきっかけは、壱哉さんを
怒らせちゃって、この部屋になんき...
いや、ちょっと出られなくなった時に、
この扉を教えてもらった笑
あの時は本当に大変だったな...
壱哉さんを怒らせると怖いと知った
2年の秋だった...
懐かしい思い出が、余計に痛む。
...あっ!こんなことしてる場合じゃない!
早く出なきゃ!
僕は扉を開け、よじ登った...
ガリッ...カチャンッ
「痛っ!」
扉をくぐる時に足が縁のささくれを
かすったみたい...
血が出てるのが分かった...
でも、痛がってる暇はなくて、
僕は足を引きずりながらその場を去った...
大きな過ちを残したまま...
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