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22話

何とか準備を終わらせて、家を出た。 まぁ、家の中でもくっついてきたんだけどね。 足の怪我のせいで、翔の車に乗せてもらった。 落ち着かないからあまり好きじゃないんだけど、今回は特別!!! 柳田さんは翔が乗ってることが すごく嬉しいみたい笑 翔は不機嫌だったけど、 それがまた、少し面白かった笑 学校についてもSPか!っていうぐらい引っ付いてきて、もはや我慢の限界だ。 「なぁ、はる...」 「...」 「はる!」 「...」 「おい!はる!」 「あぁ、もう!うざいな!何!?」 僕だって、怒る時は怒るからね! そう、思って翔を見ると、 翔は違う方向を向いていた。 「あれ!見ろよ!」 「え?」 翔が指さす方向には、人だかりがあった。 方向的に、掲示板があるはずだけど... 「なんだ、なんだ?」 翔は興味津々みたい。 翔の関心が僕から外れたのは凄く嬉しいんだけど、なんか、いやな予感がする... 『命知らずもいるもんだね...』 『まさか、九条様と自分の名前を彫るなんて...』 『しかも、フランス語で愛の言葉が彫られてたらしいよ...』 『え?なんて?』 『Tous les deuxだってよ。 意味は、いつもふたりで...』 あれ?どっかで聞いた言葉だな... 『やばい追っかけだな。』 『今、九条様親衛隊が血眼になって探しているらしいぞ。』 『見つかったら命はないね。』 嫌な予感を抱えながら、 人混みをかき分け、掲示板の前まで歩いた。 こういう時、小さいって有利だなって思うよ! ははっ...じゃなくて! 僕は顔を上げ、掲示板を見た。 「...ハッ!!!!!!!!」 僕の予感は的中したみたいだ... まさか、アンクレットが落し物で届いているなんて...しかも、保管先は生徒会... 最悪だ...僕の人生終わりだよ。 「あれ?あのアンクレットって... 羽瑠がつけぇ...ゔ!何すんだよ!羽瑠!」 翔があまりにも大きな声で喋るから 掲示板の周りにいる人達が一斉にこっちを見た 「し!!!! うるさい!喋らないで!」 「なんでだよ。」 「僕はまだ...死にたくない!」 享年16歳だなんて嫌だ! 僕は、これから楽しい人生を生きるんだ! 「は?何言ってんだ?」 馬鹿だと思われてもいい! もう、死にたくないんだもん! 「いいから!教室行くよ!」 僕は無理矢理、翔を引っ張って教室に向かった。

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