67 / 132

12話

「あ!生徒会!遅れちゃう! じゃあ、翔またあとで!」 「おう!」 タッタッタッ... 「やばい、遅れちゃうよ...」 タッタッタッ... 生徒会室に入ろうとした時中の会話が聞こえてきて、僕は耳を疑った。 「え!じゃあ、これ晶ちん一人でやったの!?」 「まぁ...そうですね! でも、吉永くんにも事情があったと思うので、責めないであげてください...」 「晶ちんって優しいんだね...」 「え... 春山先輩一人でやった?」 どういうこと? 僕が一人でやったの間違いでしょ? 「あ!吉永くんいたんだね! 聞こえちゃった??でも、気にしないでね! 困った時はお互い様だから!」 「モジャ男、こんな先輩持ったこと 感謝しなよ〜」 「そんな!当たり前のことですよ!」 何を言ってるの? 訳が分からなかった。 笑顔で嘘をつく。理解が出来なかった。 「じゃあ、今日もこの書類お願い! 期限は...明日までで! よろしく〜」 「分かりました! お任せ下さい!!」 「は、春山先輩... 何で、嘘を...」 「...フフフッ...アハハハハッ... 嘘って言うのはね、 バレるから嘘になるんだよ?」 「そ、そんな...」 「バラしたきゃバラせばいいよ。 まぁ、見た目も金も持ってる俺と学校の支援金がないと学校に来ることすら出来ない醜い君、周りはどっちを信じるかな?」 「......」 何にも言えなかった。 今の僕を信じてくれる人なんて 誰もいないから... 「じゃあ、今日もよろしく〜」 春山先輩が出ていくのを黙って見てるしか出来なかった。 悔しい、腹が立つよ。自分勝手な春山先輩にも、何も言い返せない僕にも... 「...ハァ...ズッ...負けないから。」 そこから毎日が悲劇だった。 毎日課せられる膨大な量の書類。 家計を助けるためにバイトは1回も 休めなかった。 1人で終わらせるには一日の時間が全然 足りなかった... 日に日に睡眠時間が短くなった... ご飯も食べれなくなった... 何とか、僕の気力は保たれてた... なぜ?...生徒会の役に立てていると思っていたから...それに、春山先輩に負けたくなかったから。バカみたいでしょ?でもね、僕にとっては大事なことなんだ...

ともだちにシェアしよう!