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15話

ヴー、ヴー、ヴー...ピッ 「お!やっと出た!羽瑠どこいるんだよ! もう、とっくに部活終わってんだけど!」 翔の声に抑えていた感情が一気に溢れ出した。 「...ズッ...ヒック...」 「羽瑠?どうかしたか?」 翔に頼っちゃダメだ。 分かってるのに感情が抑えられなくて。 「な...ヒック...なんでもない。」 僕にとってはこの言葉が精一杯だった。 「嘘つくなよ、怒るぞ。」 「しょ、しょう...ぼ、僕...ウッ... もう...ダメだよ...」 翔、助けて... 僕、頑張ろうって思ったんだよ? でもね、ダメなんだ... 「今どこだ!」 「きょ、教室...」 「そこ、動くんじゃねーぞ!」 翔の声を聞いただけで、 僕の心は安心していた... 翔に会いたい...何かも忘れてしまいたい。 僕は立ち上がり、廊下に出た... 「しょ、しょう...」 まだ、翔の姿は見えない。 不安な気持ちが大きくなる。 「よ、吉永くん?こんな時間に何して...」 「れ、レオ...」 振り返るとレオがいて... あれ?何でレオが歪んでるんだ? 瞬きしても変わらなくて、 「あ、あれ?」 次の瞬間、レオが傾き出した... 違う。僕が倒れているんだ... バタッ... 「よ、吉永くん!!」 僕の名前を呼ぶレオ。 それが僕の最後の記憶...

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