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16話 レオside

「19時か...」 課題をやっていたら、遅くなってしまった。 ケータイには通知が溜まってて、1つずつ見返してると、千景が大変だと言うことだけ。 とりあえず、あとで連絡するとして、 もう帰ろう。 そう、思っていると、 こんな時間なのにおぼつかない足取りで 歩いている生徒が見えた。 その後ろ姿は見たことがある生徒で、 僕は声をかけた... 「あれ?吉永くん?こんな時間にどうしたの...」 「れ、レオ...」 振り向いた彼は涙を流しながら こちらを見ていた。 「あれ?...」 彼の体は崩れ落ちていった... 「よ、吉永くん!!」 倒れていく彼を僕は寸前で受け止めた... 受け止めた彼は、すごく軽くて、初めて会った時よりもやつれていた... 「ど、どうして...」 ダッダッダッ... 「羽瑠!!」 そう、叫びながら走ってきた生徒は、 僕に敵意を向けていた。 「羽瑠に何をした。」 「それは、俺が聞きたいよ。 吉永くんはどうしてこんなになって...」 「どうして?バカにしてんのか? おめーら生徒会のせいだろうがよ! 羽瑠がこんなんになるまで働かせやがって...」 「俺たちのせい?」 「まだ分かんねーのかよ! 羽瑠はな!俺と同じ朝練の時間から学校に来て、生徒会の仕事して、放課後もこんな時間まで仕事してんだよ! 羽瑠の家はこいつが働かないと苦しいから 深夜まで働いてるのによ...」 「そんな、仕事量じゃないはず...」 「知らねーよ。 1人でやれる量じゃねーのは確かだけどな。 羽瑠...大丈夫か...帰るぞ...」 返答の無い彼を背負いながら、 去っていった。 どういうことだ。 何が起きてるんだ。 1人?2人の聞き間違いか? 俺の知らないところで何かが起きている みたいだ。

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