集合場所につき、班決めが行われた。 周りはどんどん決まっていくのに、 僕たちだけ、班が作れずにいた．．． 先輩が、誰も来てくれない．．． 『ﾌﾝｯ！当然の結果ですね。』 『庶民の分際で、 西園寺様を怒らせるからですよ．．．』 『可哀想。笑』 嫌でも聞こえる陰口に下を向きたくなる 気持ちを抑えて僕は前を見続けた。 「あいつら、いい気になりやがって．．．」 今にも噛みつきそうな翔の袖を引っ張った。 「大丈夫。僕は大丈夫だから。」 僕の顔を見て、翔は溜息をつきながら 僕の方を向いた。 「．．．わかったよ。」 もう、班は作れないかな．．． 「翔！」 1人の先輩が話しかけてきた。 「あ！姫ちゃん先輩！」 「おい。その呼び方やめろって言ったよな？」 「俺は、やめるとは言ってませーん笑」 「全く．．．」 「で、なんか用あったんすか？」 「いや、うちの班1人足りないから誘いに来たんだけど．．．友達がいたんだな」 そう。この先輩こそが翔の想い人で 将来、翔の人生を共にする人。 翔が一瞬、迷った顔をした。 「あ．．．そうなんすよ！ なんで、今回は．．．」 「あ！あの！姫島先輩！ 翔のことお願いしてもいいですか？」 僕は翔の言葉に被せるように言った。 「おい！羽瑠！何言ってんだよ！」 「僕、体調が悪くなってきちゃったんで先に休憩所に戻るから！ 姫島先輩、翔をお願いします！」 「は、羽瑠！」 「ついてきたら怒るからね。」 僕はそれだけ言うと すぐにその場を立ち去った。 僕だって親友の恋を邪魔するのは嫌だもん。 それに、翔には笑ってて欲しい。 僕が過去を変えたから、その責任を取るだけ。 「翔、いいのか？」 「俺にも分からないんです。 最近のあいつは何を考えてるのか。 人が変わった気がして．．．」 そんな風に思われてるなんて、 僕は気づかずにいた。