80 / 132
25話 翔side
「おい、お前らさー、羽瑠見なかったか?
どこ見てもいないんだよ...」
『羽瑠って、あのちっこい子か?』
「ちっこいって笑
それ、羽瑠に聞かれていたら死んでんぞ。」
『そ、そうなんか?笑
俺は知らんぞ!お前知ってっか?』
『いや、俺も見てねー!』
「そっか...
羽瑠のやつ、どこまで行ったんだよ...
俺が、1人にしたからいじけてんのか?
天気も悪くなってきたってのに...」
何故か嫌な予感がした。
別に確信なんてないけど、胸がざわついた。
「お、おい!翔!!」
「あ、姫ちゃん先輩!どうしたんですか?
そんな焦って笑」
「翔。とりあえず、落ち着いて聞けよ。」
「俺は、いつだって
落ち着いた男ですけど?笑」
「お前がいつも一緒にいる、
吉永くんが遭難...したそうだ。」
「...え?そ、遭難?
う、嘘はダメですよ!姫ちゃん先輩笑」
「嘘じゃないんだ。
さっき、生徒会から連絡があった。
僕達と別れた場所から近い崖から吉永君の靴が発見されたそうだ...」
「は?う、嘘だろ...
羽瑠が崖から落ちた?
そんなヘマ、羽瑠がする訳ない。」
「でも、通行止めになっているはずの道が
なぜか開いていて、道しるべもそっちに向けてあったって通りかかった人が言ってたらしい...」
「なんで...あいつ、か...」
俺の予想が当たっているとすれば
そんなことするのは1人しかいない。
俺は気づいたら走り出していた。
ともだちにシェアしよう!