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34話
目を開けると、僕の前には真っ暗な世界が広がっていた。
「僕、また死んじゃったの...」
「「「吉永様。私たちの声が聞こえていますでしょうか?」」」
姿は見えないものの脳に響く声は聞いたことのあるものだった。
「さ...三女神様?
あの...ここはどこなんでしょうか?
僕はまた、死んでしまったのですか...」
「「「いいえ。あなたはまだ死んではいません。ここは、死と生の間の世界です。」」」
「死と生の間...
どうしてそんなとこに...」
「「「本来、この死と生の間は死にかけたものしか入れないのです。なぜ、ここに来たのかは吉永様が1番よく分かっているのではないですか?」」」
「僕がここに来たのは...
怪我をして死にかけたから...
なら、僕はまだ死んではないということですよね!?」
「「「その通りです。」」」
その言葉を聞いて心から安堵した。
まだ生きていられることが嬉しくて...
死ぬのは思ったよりも辛いことだったから。
「あの...いつここから出られるのでしょうか?」
「「「すぐに元の世界にお戻し致します。」」」
「あ!ありがとうございます!!」
「「「吉永様。1つ伝え忘れたことがあります。」」」
「伝え忘れたこと?」
「「「はい。それは...過去を変えすぎてはいけないということです。」」」
「過去を?」
「「「過去を変えれば未来も変わり、予期せぬことも起こってしまうのです。
吉永様も体験したのではないですか?」」」
「...。」
思い当たることはあった。
僕の過去にいじめられたことはあっても襲われたり、陥れられる事はなかった...
「「「未来を変えることには、
それだけの代償があります。
今は小さな変化でも後に大きな変化をもたらしてしまうでしょう...」」」
「じゃあ、僕はどうしたらいいんですか!?
また、あんな未来になるのを待てと言うんですか!?
そんなの!!...あまりにも...
酷です...」
「「「変えるなとは言いません。しかし、未来は簡単に変わってしまうことを忘れないでいただきたいのです。」」」
「僕は...どうしたら...」
「「「吉永様。目に見えるものだけが真実ではないのですよ。」」」
「え?」
その言葉の後に三女神様の姿は消えていた。
僕の意識も深く落ちていった...
『目に見えるものだけが真実ではない。』
その言葉が僕にはすごく引っかかった...
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