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44話
会話が途切れ、少しの沈黙が流れたその時、
急に翔が生徒会の方に体を向けた。
「あの。今回、羽瑠を助けてくれたことには感謝してます。でも、あいつの行動に気づけなかったあなた達にも問題はあるんじゃないですか?」
「翔!ばかっ!」
「1-S吉田翔。誰にものを言っているのか分かっているのか?」
ぎゃー!!!
怒っている。京介先輩が怒ってる!!
それに学年、クラス、名前まで知ってんの!?
恐るべし情報網...じゃなくて!
「分かってます。でも、俺の親友が苦しんだんです。黙ってはいられないんですよ。」
「ちょっ!翔!!」
僕は、近くにあった枕を投げた。
「いって!羽瑠なんで投げんだよ!」
「落ち着いてってば!
どこに喧嘩売ってんの!」
「喧嘩なんて売ってねーよ!ただ、納得できないことだけ伝えてるだけだろーが!」
「それを売ってるっていうの!」
じゅ、寿命が縮む!
え、僕のこと弱らせたい?
え、そういうこと?
僕はもう半分パニックだった。
「京介。吉田君が言ってるように、こちらにも落ち度はあると思うんだ。吉永くん、ごめんね。」
そう言ってレオは僕に頭を下げた。
「えっ、あ、いや!
ほんとに、全然大丈夫ですから!」
「それで、っていうわけではないんだけど、
このまま生徒会に残ってくれないかな?」
「え?」
「羽瑠をまた、こき使うってことですか?
そんな所に羽瑠はやれませんから。」
「そういうわけじゃないよ。生徒会に関わったからには、彼のような輩がまだいると思うんだ。こちらとしても、生徒会にいてくれる方が吉永くんを守れる。それが理由じゃダメかな?」
レオの言葉に翔も納得したのか、俺の答えを待っているみたいだった。
生徒会に守られたら、簡単に手を出されることは無いと思う。
嬉しい、嬉しいけどさ...
「...とてもありがたいんですが、お断りします。自分の身は自分で守れますし、生徒会の皆様に迷惑がかかるのもちょっと気が引けるので...」
ただの強がりかもしれない。
実際、春山先輩が最後に言ってた言葉も気になるし、これからまたこんなことが起きるんじゃないかって不安は...正直ある。
でも、また生徒会に入るなんて...
そんなの無理だよ...
「少し話がしたい。2人にしてもらえるか。」
「え、」
不意に言われた壱哉さんの言葉に思わず
声が出た。
僕に話?しかも2人で?
?しか浮かばない。
「は、羽瑠!」
何も言わない僕に翔が呼びかけてきた。
「わ、分かりました。
翔、外で待っててくれる?」
「おう。」
「お前達も今日は帰ってくれ。」
「分かったよ。」
病室には、僕と壱哉さんの2人だけになった。
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