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45話
遭難した時の記憶がほとんどないからか、
2人でいるのが久しぶりに感じる。
沈黙が続く部屋。
できることなら今すぐ逃げ出したい状況ではあるかな...
僕は、アンクレットのことが
話したいだけなんだけど...
壱哉さんから話ってなんだろう...
なんかしたかな...
も、もしかして、遭難した時なんか口走ったとか?
だとしたらまずい...
僕、なんか言っちゃってましたか!?
なんて言えるわけないし。
よし!痛いところを突かれる前に、
話しちゃおう!
「あ、あの...生徒会が保管している、アンクレットの事なんですが...」
「それがどうした。」
「じ、実は...その...僕、持ち主を知っていて...とても困っているみたいなので、か、返して...くれませんか?」
「なぜお前に?」
「なぜって...
そ、その子の友達だからですよ!」
「そこまで困っているなら、持ち主が正体を明かして取りに来るべきだろう?」
それはごもっとも...
「そうですけど...」
正体を明かしたらどんなことになるか...
親衛隊から袋叩きに合うかも...
無理無理無理!!
「で、でも!こんなに大騒ぎなってしまったら
声を上げにくくなるのは当たり前じゃないですか?」
べ、別に嘘はついてない。
実際に困っているし...
壱哉さんの鋭い視線に全てを見透かされている気分になって、僕は目線を逸らしながら抵抗し続けた。
「...分かった。」
僕の言葉に納得してくれて(いや、呆れて。)
壱哉さんは、ポケットからアンクレットを出して、僕の目の前まで持ってきてくれた。
「ほんとですか!ありがとうございます!」
ヒョイッ
受け取ろうとしたらアンクレットは
手の届かない位置に変わっていた。
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