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5話

生徒会長室の前に着いた... 「...ハァ、よし! 渡すだけ、渡すだけ! はい、それではさようなら。 ...これだけ!」 シュミレーションはバッチリだ! 必要以上に関わらない! ...それでいい。 「あれ?」 ノックしようとしたら扉が空いていた おかしいな... ガタンッ! え、何! 突然の物音がして、 隙間から覗いて見ると... 「ん...んぁ!...ハァハァ だめぇ!!」 「!!!!!」 バッ... 見えたのは... 裸の女の人が、壱哉さんに抱きついてるところ... 「最悪だ...」 また、心がズキズキと音を立てる... 今日は帰ろう。 そう思った時... 「おい。」 「え...」 突然、どこからか声がして、 後ろを振り向いてみたけど、誰もいなかった。 「なんだ、気のせいか...」 「おい、監視カメラで丸見えだ。」 まっさかー... 恐る恐る、声のする方に顔を上げていくと 天井にカメラがついていた... 「...ヒッ!」 「ここまでだ。」 「...はい。」 パタパタパタ... 女の人は違うドアから出ていったみたいだった。 「入ってこい。」 「...ハァ...し、失礼します...」 ドアを開けると、 上半身裸の壱哉さんがいた。 「!!!」 べ、別に見とれてたわけじゃないし! かっこいいとか思って...ないし... 「突っ立ってないで早く持ってこい。」 「あ、はい...」 僕は下を向きながら書類を渡すために 中へ歩いた。 「すみません、お取り込み中に... これ、書類です。それでは!」 「待て。2回も覗き見してすみませんだけか?」 「の、覗き見したんじゃなくて! 物音が聞こえて、それで...し、心配で...」 「本当に、それだけか?」 「いや、だから...って、僕が来るの分かってるのにあんなことするから!」 「ノックしないからだろ。」 千景先輩が言ってたのはこの事か... 「あ、あの人とは...付き合ってるんですか...」 「固定は作らない主義だ。」 やっぱり遊びか... プレイボーイだったことは噂には聞いてたけど、ここまでなんて... だめだ。これ以上ここにいると 何か言ってしまいたくなる。 帰ろう。 「...僕が悪かったです。 じゃあ、もう戻るんで...」 背を向けた瞬間、 気持ちが込み上げてくる。 耐えなきゃ。 ここから出れば... 「待て、俺の楽しみを奪ったからには覚悟、 できてるんだろ?」 「え?何言って...」 突然の言葉に振り向くと、 壱哉さんがこちらに向かって歩き出していた。 「ちょ、ふざけないで...ください。」 「...」 「ぇ...」 急に顔が近づいてきた。 え、僕、キ、キ、キスされる!? 僕は、咄嗟に目をつぶった。 ...あれ?何も...おきない? 「フッ...安心しろ、俺はお前みたいなちんちくりん、襲ったりしない。 ...対象外だ。」 バンッ! 「...ふ、ふざけないでください。 全員が、あなたのこと好きだなんて... 思わないでください。失礼します。」 悔しくて、悲しくて...苦しい。 溢れ出すこの感情に僕はどうしていいか 分からなかった。

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