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7話

車で連れてきてもらったのはいつも行ってる床屋さんじゃなくて、高そうな美容室だった。 「うわぁ...でか。」 「普通だろ? ほら、早く入るぞ。」 「翔がお金持ちなの忘れてた...」 美容室に入るとVIP室に案内されて、 僕は鏡の前に座っていた。 「羽瑠、本当にいいのか?」 「いい。もう決めたんだもん。」 「なら止めないけどよ。」 「あの!おまかせで、なめられない髪型にしてください!」 「へ? な、なめられない?」 「ばか!「痛!何すっ...」今風な感じとこいつに似合う髪型で頼む。」 僕の決意は翔に叩かれてかき消された。 僕、本気だったのに! 『か、かしこまりました。』 「じゃあ、これは預かっておくからなー」 「え!ちょっと!」 翔に眼鏡を取られたせいで僕の視界はぼやけて何も見えなくなってしまった。 確認できないじゃんか... 「どうせ見えてたら躊躇してやめるだろ? だから、終わるまでは我慢してろ!」 「むぅ...」 「じゃあ、こいつを頼んだ!」 『かしこまりました。』 「あ!翔!!」 眼鏡がない僕には走っていく翔を 追いかけることもできなかった。 そこからはあっという間だった。 髪の毛が切られていく度に僕が悩んでいたものが落ちていくようだった。 『吉永様、いかがでしょうか?』 美容師さんの言葉に僕はゆっくり目を開けた。 「...。」 頭は前よりも軽くなって、ぼやけてるけど視界が広くなったのが分かる。 『吉永様?』 「え、あ、あっ!すみません! 大丈夫です!ありがとうございます!!」 見惚れてたみたいになっちゃった! 絶対変な人だと思われただろうな... 眼鏡付けてなくて良かったかも... 僕は急いで翔の所に向かった。

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