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9話
「よし、じゃあ次は、瓶底メガネをコンタクトに変えるぞ。」
「...やだ。」
「やだって...子どもか!」
「だってさ、コンタクトは目がゴロゴロするし、異物が入ったみたいで好きじゃないんだもん。それに、眼鏡つけた方がいいって言ったじゃん。」
過去でもコンタクトつけれるまで本当に大変だったんだ...
試行錯誤して、どうにか付けれるようにはなったけど、またそれを繰り返さないといけないなんて...無理!
「その髪型でその眼鏡つけてたらすごい目立つぞ?それに、もし、眼鏡忘れたらどうすんだ?」
「そ、そんなことないもん!」
「中学の時、1回忘れたことあっただろ?」
「ゔ...で、でも、あの時も別に何もなかった!...と思うような...そうじゃないような...」
あんまり覚えてないけど、
翔に怒られて、次の日、クラスメイトの男子にまで変な目で見られたんだっけな...
「おい。誰のおかげで何も無かったと
思ってるんだよ。
羽瑠のせいで何人の男が...〚お前に惚れて押し倒そうとしてたと...〛」
「え?何?男が何?」
聞き取れなくて聞き返したけど、翔は憐れむような顔でこっちを見るだけだった。
「俺にとったら、羽瑠が何も見えない状況下に置かれる方が怖いわけよ。
それに、変なやつに襲われたらどうすんだ?」
「翔。僕、男だよ?
僕の運動神経があればどんな相手もボコボコに...」
「体育が1のやつに運動神経なんてねーだろ。」
「...1じゃないもん。2だもん。」
「はぁ...羽瑠、ちょっとその眼鏡貸せ。」
「え、なんで。」
「いいから。」
「...分かったよ。はい...」
バキッ
ん?バキッ?
音のする方を見てみたら、僕が数秒前までつけてた眼鏡がまっぷたつに割れていた。
「え?」
「さ、これで未練なく、コンタクトにできるな!」
「...ばかぁ!!!」
「いって!!
殴らなくてもいいだろ!」
「殴るよ!
壊すことないじゃん!愛着あったんだから!
ほんとさ...」
「...俺は...俺は、羽瑠が変わりたいっていうから応援したかったんだよ...」
「だからってさぁ...」
「俺は、ダメな友達だな...
羽瑠のこと怒らせて...」
「そ、そんな怒ってないってば...」
「はぁ、俺なんて...」
翔の背中がどんどん丸まっていく。
「そんなに落ち込まないでよ...」
翔は僕のこと考えてくれてたんだよね...
それなのに僕は...
「わ、分かったよ!
もう...コンタクトつけるからさ...」
「ほんとか?」
「うん。だから、そんな落ち込まないでよ...」
僕は、翔の方に駆け寄って翔の顔を覗き込んだ。
...あれ、笑ってる?
「よし!そうと決まればまずは検査だな!」
「え?何その切り替え。」
まんまと騙された僕は怒る気も起きなくて、
流されるまま検査を受けていった。
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