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12話
「...でさ、そしたら姫ちゃん先輩が...」
学校が見えて来た時、なんでか漕いでいた足が止まってしまった。
「おい、羽瑠?どうした?」
「...。」
なんでか、急に怖くなった。
自分を隠してくれるものが無くなるってこんなに不安だったんだ...
過去の時とは状況が変わったからかな...
あの時よりも怖いんだ...
いきなり変わったら周りからどんな目で見られるんだろう。そんなことが僕の頭をよぎる。
「自信が...ない...
それに、周りの目が怖いんだ...」
「髪型が変わろうが、眼鏡が変わろうが、
羽瑠は羽瑠だろ?」
「え?」
「だからな、前も今も羽瑠なことには変わりないってこと。それに、周りが何言ったって関係ない。羽瑠は...羽瑠だけのものだ!
周りにとやかく言われる筋合いはねーんだ」
「でも、こんな僕だよ...?
好きになってくれる人なんているのかな...」
「おい。親友の羽瑠を、バカにすんな!
羽瑠本人であっても許さねーぞ!
撤回しろ!撤回!」
「フフッ...もう、何言ってんの笑」
翔が、僕のために怒るもんだから嬉しくて、
恥ずかしくて.気づいたら自然と笑ってた。
「お!やっと笑ったな?
俺は笑ってる羽瑠が1番好きだ!
だから、これからもずっと笑っててくれ!」
「...///」
「でも、学校であんまり笑うなよ?
眼鏡も外さないで...ってあれ?
羽瑠、照れてるのか?」
「て、照れてない!
もう行くよ!」
僕は勢いよくペダルを漕いだ。
こんな日常がずっと続けばいいなんて
僕のこの想いは欲張りかな...
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