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15話

教室に戻ってからは特に大きい事は何も無く、普通に授業が進んでいった。 相変わらず、僕のことを言ってる声は聞こえてくるけど翔が睨むから、その声も気づけば聞こえなくなっていった。 そして、あっという間に放課後になり、翔と別れた僕は、重い足取りのまま生徒会室に向かった。 ガチャ... 生徒会室のドアを開けると もう先輩たちが集まっていた。 「あ、あの...」 僕に気づいた千景先輩がこっちに向かってきた。 「あーだめだめ!生徒会メンバー以外の生徒は立ち入り禁止だよ?」 「あ、あの、」 「生徒会にら入りたい気持ちは分かるけど、今は募集してないの、さぁ、帰って帰って!」 「千景先輩。ぼ、僕です。 吉永羽瑠です。」 名前を言った途端、千景先輩の顔が固まった。 「え!羽瑠ちゃん!? 髪の毛どうしたの!? それに、あのダサ眼鏡も! もう、別人じゃん!」 「あ、はい。ちょっと暑かったので... 眼鏡は壊れたので新しくしました。」 千景先輩のマシンガンのような質問攻撃にあたふたしながら答えていった。 「ねぇ!みんな!羽瑠ちゃん可愛いよね!」 「似合っているな。」 「あ、ありがとうございます…///」 大和先輩に褒められて、少し恥ずかしくなった。 あんまり、褒められることないからな... なんて思ってると千景先輩がこっちを見ながら近づいてきた。 「でも、僕はその眼鏡ない方がもっと化けると思うんだけど...」 「あ!!こ、これはだめです!」 急に手を伸ばしてきた千景先輩に 眼鏡を取られそうになって僕は必死に抵抗した。 取られたら、翔との約束が! 「羽瑠ちゃん、いい子だから大人しくしてね〜 僕の勘がそれを取った方がいいって言ってるの!だーかーらー...「千景、ストップ。大和。」」 「うわっ!」 「そこまでにしな、羽瑠が嫌がってるよ。」 気づいたら千景先輩と僕の間にレオがいて、 千景先輩は大和先輩に後ろから抑えらていた。 「レオルー!なんで止めるのさ! それに大和まで!はーなーせー!」 「しばらく静かにしておきなさい。」 「大和〜、千景は何も悪くないよね?」 「...無理強いはよくない。」 「むぅ、大和まで!」 千景先輩はほっぺたを膨らませて ちょっと拗ねていた。 年上なのに可愛いって思っちゃうんだよね... 「でも、本当によく似合ってるよ。」 振り向いたレオが僕を見ながら言った。 「ありがとうございます!レオ先輩に言われたら少し、自信になります笑」 僕が笑いかけるとレオは少し驚いた顔をして 後ろを向いてしまった。 あれ、なんかしたかな... あ...翔にあんまり笑うなって 言われたばっかりだった... 「あ...あのーレオ先輩?」 「羽瑠、眼鏡ずれてるから... 直した方がいいかも。」 「あ、はい!」 レオに言われて僕は急いで眼鏡を直した。 コンタクトつけてるからずれてるとかいまいち気づけないんだよね... 「ちょっと教室に忘れ物したから 取りに行ってくるね。」 そう言って、レオは生徒会室から 出ていってしまった。 「なんか、レオルー耳赤くなかった?」 「え?そうでしたか?」 あんなに急ぐなんて 大事な忘れ物だったのかな...

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