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19話
生徒会長室の前に着き、ドアノブに手をかけた時、昨日のことを思い出した。
そういえば昨日...
『全員が、あなたのこと好きだなんて...
思わないでください。』
なんて言っちゃったんだよね...
あーもう!僕のバカ。
なんであんなこと言っちゃったんだよ...
生徒会室では怒ってなさそうな感じだったけど...まぁ、こんな僕の言うことなんて忘れてるよね?そ、そうだよね?
...よし。
僕は何もしてない。何も無かった。
忘れよう。
決意を決めた僕は、何が起こるか分からない扉の向こうのことを考えながら恐る恐る扉を開けた。
コンコン...ガチャ
部屋にはソファに座る壱哉さんがいた。
「...」
今日は、1人なんだ...
「どうした、また先客がいると思ったか?」
「そ、そんなんじゃありませんから。」
思ったことが口に出てたんじゃないかって内心、ドキドキしていた。
顔に出てたかな...
「あ、あの。ここに置いておきます。
何か不備があれば明日、行いますので...」
僕は机の上にさっき完成した書類を置いて壱哉さんに背中を向けようとした。
早くここから出ないと
そんな気持ちでいっぱいだった。
「どこに行く。」
「へ?あ、書類は完成してますので...」
「まだ帰っていいと言ってない。座れ。」
「...はい。」
僕の願いは儚く消えていった...
「あの持ち主はどうなった。」
「あの持ち主...?」
「...なぜ生徒会に入ったか忘れたのか?」
「...あ、 アンクレットの...えっと...やっぱり、会うのは難しいそうです...」
「理由は。」
「り、理由ですか...えっと...なんていうか...生徒会長様に会うのは忍びないというか...恐れ多いというか...そんな理由で会うことはできない...みたいな、感じです。」
自分でも何言ってるか分からない。
けど、お願い!納得して!
「分かった。」
え!
まさかの言葉に勢いよく顔を上げた。
「って、言うとでも思ったか。」
ですよね...
期待した僕がバカでした。
「どうにかしてでも連れてこい。」
「え、でも...」
僕の言葉は壱哉さんの睨みによって行き場を無くしてしまった。
連れて来いって...
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バンッ!
「僕がアンクレットの持ち主ですけど?」
「何言って...」
「だーかーらー、僕なんですって!
もういいですか?
会ったんですからこれ以上、僕には関わらないでください!
ずっと!!え、い、え、ん、に!!!」
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なんて言えたらこの悩みもすぐに解決できるんだけどね...
でも...いつかはバレちゃうのかな...
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