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21話

校門の前で翔の背中を見つけた。 「ハァ...ハァ...しょ、しょう、 ハァ、ハァ、だ、大丈夫、なの?」 見た感じ怪我はないけど... 翔の目は少し赤くなっていた。 「はる、聞いてくれよ...」 「う、うん。」 「音ちゃん先輩が!!」 「...先輩?」 「体育祭のリレーで1位とったらデートしてくれるんだってよ!!」 「...え。」 「やばくないか? もう、俺、どうにかなりそうでよぉ... ここは現実か?もしかして夢なのか?」 「ねぇ。それ...だけ?」 「それだけって!酷くないか? 親友の大大大事件だぞ?」 「じゃ、じゃあ、部活の先輩にいじめられたとか」 「んな事されねーよ笑 そんな奴が本当にいたら俺様の実力を見せつけてやるぜ!」 「僕を襲ったやつになんかされたとか」 「いや?何にもされてないけど? また出てきたのか!?どこだ!」。 「はぁ...」 キョロキョロ辺りを見回す翔を見ていたら体から力が抜けていって僕はしゃがみ込んだ。 「は、羽瑠?大丈夫か?」 「大丈夫じゃないよぉ...」 「なんか、あったのか?」 「翔が、泣いてると思ったから、急いできたんだよ?」 「すまん!感極まっちゃってよ笑」 「怒らせてでもこっちに来たのに...」 「羽瑠、人は寝れば怒りなんて忘れるもんだぞ?だからくよくよするな!」 「人類みんな翔みたいだったらもっと世界は平和かもね。」 「そんな落ち込むものか? で、誰なんだ?怒らせたやつ。」 「...会長。」 「え?」 「生徒会長だよ!!」 「羽瑠、その冗談は笑えねーって!」 「僕の顔みても冗談だって思える?」 「...う、嘘だろ?」 「僕も嘘だったらどんなにいいか... はぁ...」 「...なんか、ごめんな。」 「もう、知らない!」 「ちょ、羽瑠!! 許してくれよ〜!!」 その日の帰り道はいつもより自転車を漕ぐ足が重たくて、家までが遠く感じた。

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