123 / 132
22話
次の日...
学校に着いてから教室まではいつも通りの時間が流れていた。
心配、しすぎてたかな...?
《おはようございます。
朝の放送を始めます。本日は...》
「羽瑠!時間割変更になってるぞ!」
「あ、ほんとだ...
えーっと、2時間目が...」
《...となっています。えー、生徒会からです。1-S吉永羽瑠さんは3-Sに向かってください。繰り返します。1-S吉永羽瑠さんは3-Sに向かってください。》
「...羽瑠、呼ばれてるぞ。」
「翔にも聞こえてたんだ...
幻聴だと思ったのに...」
「3-Sって生徒会メンバーのクラスじゃねーか!」
僕の名前が呼ばれたことで教室の中は騒がしくなっていた。
「はぁ...なんでこうなるかな...」
《あ、制限時間は10分です。》
「え?」
「羽瑠!10分!10分だぞ!!」
「う、嘘でしょ!!」
僕は急いで教室を飛び出した。
1年生の教室から3年生の教室は普通に歩いて15分。そこから生徒会メンバーがいるSクラスはさらに階が上がるからプラス5分。
間に合うわけが無い。
でもこれは過去の僕だったら、の話。
でも、僕には3年間の経験値がある!
「3年間通った僕を甘く見るなよー!!」
空き教室を通って、外階段を登って、生徒がいない道を全速力で駆け抜けた。
喉が痛い、なんか血の味がする...
経験値を生かすためには運動能力が必要だったらしい...くそぉー!!
「ハァハァ、ハァハァ、つ、着いた...」
ガラッ...
開けた瞬間、クラスの視線が僕に集中した。
それもそのはず。
だって、放送で名指しされてるんだもん。
僕でも見るよ...
生徒会メンバーの席は暗黙の了解で固まっている。
先輩方の好奇心と嫉妬の視線を浴びながら、
壱哉さんの元に向かった。
「あれ、羽瑠ちゃん!
なんでいるの?」
「放送聞いてなかったのか?」
「うーん?知らない!」
「ハァハァ...先輩方、ハァハァお、おはようございます...」
千景先輩と京介先輩の間を抜けて最後の力を振り絞りながら、いかにも不機嫌そうな壱哉さんの前を目指した。
「あ、あ、あの...」
「遅い。」
「す、すみ、ません。」
お、遅い!?
2分すぎただけなのに?
普通に考えて着くわけない。
僕に羽根でも生えてると思った?
と、つっこみたい気持ちを堪えて、僕は頭を下げた。
「これ、放課後までに持ってこい。」
壱哉さんが指す方向には生徒会のものなのか
書類が乗っかっていた。
「...は、はい。」
見た感じ大変な量じゃないし、放課後までだったら余裕で終わるけど...
わざわざ放送で呼ぶ必要なかったんじゃ...
「なんだ?足りないか?」
「い、いえ!!全然!
放課後までに必ず!し、失礼します!」
ガラッ...
「はぁ...良かった...
とりあえず、これやればいいんだよね?」
キーンコーンカーンコーン...
「やばい!
朝のホームルーム!!!」
ともだちにシェアしよう!