126 / 132

25話

コーヒーを淹れていると表から声が聞こえた。 『新堂様、西園寺様。お飲み物はいかがなさいますか?』 「僕、ココア!」 「今日はカモミールにするよ。」 『かしこまりました。』 「あれ?いっちー今日は早いね!どうしたの?」 「別に。」 「ふ〜ん。なんか怪しい...」 「あれ?壱哉、飲み物いらないの?」 「必要ない。もう作ってある。」 「スンスン... コーヒーのいい匂いがする〜!! あっ!羽瑠ちゃんだ!!」 「あ、ど、どうも... 会長、お待たせしました...」 「あー!!いっちーだけずるいよ! 僕も羽瑠ちゃんのココアが飲みたかった!!」 「いや...誰が淹れても同じだと思いますけど...」 「たしかに、抜けがけはずるいね? 羽瑠、僕も飲みたかったな...」 「レオ先輩まで.からかわないでくださいよ...でも、そう言っていただけて嬉しいです。」 素直に嬉しかった。 過去に戻ってから誰かに褒めてもらうことなんてなかったから。 「羽瑠...」 急に名前を呼ばれたと思ったら レオ先輩は僕の顔をじっと見つめていた。 「はい?」 レオ先輩から伸ばされた手が僕に触れ... 「おい。まだいたのか? もう用はない。下がれ。」 「壱哉!そんな言い方は...」 「あ...すみません。 失礼します...」 タタタタタッ... 下がれって... 別にそんな言い方しなくてもいいのに... 「はぁ...お腹空いたぁ...」 その後、屋上に戻り僕のお弁当からたこさんウィンナーが誰かの手によって消えていたことを知ったのは少しあとの話...

ともだちにシェアしよう!