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29話
「お前は、生徒"会長"補佐だ。
だから、俺の仕事を優先するのは当たり前だろ。」
「あ〜生徒会長補佐!...ん?!?!?!
せ、せ、生徒会長補佐!?
え、でも...仕事は雑務と変わらずって病室で...」
僕の頭はフル回転していた。
嘘だ...嘘...
「たしかに、昨日までは雑務だったな。」
「き、昨日まで...?」
「お前が自分で言ったんだろ?
《なんでもやります》ってな。」
「なん、でも...」
昨日の記憶を必死に遡ってみた。
昨日は翔のせいで慌ててたから
言ったような...言ったような...
僕のバカ!
なんでもなんてこの人の前で絶対言っちゃいけないのに!!
でも待てよ...
あの場にいたのは僕と壱哉さんの2人だけだったはず...
ここは一か八か...
「そんなこと...言ってませんけど!」
自信満々にい、言えた..
ちょっと、ほんのちょっとだけ、
目が泳いで、声が上擦ったかも...
それでも"僕的"には完璧な演技だった。
これなら壱哉さんも騙されるは...
「嘘をつく相手は選んだ方がいいぞ」
そうそう...これは嘘...
「...え?」
壱哉さんは制服のポケットからペンを取り出してきた。
え、ペン?
ただのペンにしか見えないけど...
ピッ
...ぴっ?
『僕、なんでも、やります。あの〜書類整理とかお茶くみとか生徒会の仕事やります。』
そのペンはただのペンじゃなくて
録音機能がついたものだった。
そこから流れてきたのは...
...僕!?
「!!!?!?!?」
『’なんでも’やるんだな?』
『はい!』
僕の耳に聞こえてくるのは
今にでも消してしまいたい昨日の失言だ...
「言っただろ?
嘘をつく相手は選んだ方がいいってな。」
「い、いや!う、嘘をつっ、つこうと思ったわけではなくてですね...」
ちらっと見えた壱哉さんの顔は怒った様子ではなく少し笑みを浮かべていた。
まるで罠にかかった獲物が足掻くのを楽しんでいるように。
あ、悪魔だ...
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