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15※

  「っは、ひ、う゛……ッ!」  休む暇など無かった。  ようやく達したと思えば再び動き始める勇者から逃げることが出来ない。体内に溜まった精液を塗り込むように更に中を摩擦され、体中に響く粘着質なその音に頭がどうにかなりそうになる。  もうやめろ、抜け。そう声をあげようとしても奥を抉られると途切れてしまい、何も考えられなくなるのだ。 「勇者サマ離す気ねえのかよ、本当独占欲強いよなぁ。なあ?スレイヴちゃん」 「っ、……ふ……ッ」 「ん、ぅ……はは、焦点全然合ってねえわ。おーい、生きてっか?」 「……ッ、う……ッ」  下腹部は勇者に犯されたまま背後のメイジに唇を甘く噛まれ、舌で舐められる。強く噛みすぎたせいで血の味が広がる咥内、ぬるりとした舌が入ってくる。勇者がこちらを睨んだ気がしたが、メイジはお構いなしに俺の舌を絡め取るのだ。  熱に浮かされた思考の中、最早どこまでが現実なのかすら俺には判別つかなかった。  胸元、上半身に這わされる手。技巧も関係なく性急に腰を打ち付けられる下腹部は最早快感以外の感覚もない。重ねられた手のひらが、絡め取られる指先が誰の手すらもわからなかった。  ちゅ、と軽く舌を吸われた後、すんなりと唇を離したメイジはそのまま「ああ、そうだ」と俺から手を離す。それもほんの一瞬。次の瞬間、いきなり頭を掴まれ首を動かされたと思えば開いたままの唇に何かが押し付けられた。  薄暗い中、月明かりに照らされ濡れたそれがなんなのかすぐに分かった。噎せ返りそうなほどの雄の匂い、そして硬く勃起したそれは間違いない。 「その口空いてんじゃん」 「勇者サマが満足するまでお前はこっちで奉仕しろよ」雑用らしくな、と笑うメイジに頭に血が昇りそうになる。腕が使えたら殴りかかっていた。はずなのに。 「ほら、さっさとしろ」 「っ、だ、れが……ん゛ぅ……ッ!」 「ほら、無理矢理突っ込まれたくないだろ?俺だってしたくない」  いけしゃあしゃあと言ってのけるメイジはそう言いながら俺の鼻を摘むのだ。必死に閉じていた唇にまるで口紅でも塗りたくるように性器、その先端を押し付けてくるのだ。匂いすらも感じたくない、鼻呼吸も我慢していただけに息苦しくなる。「ほら、舐めろよ」と甘く囁きながら前髪を梳かしてくるメイジに血の気が引いた。  勇者は、あいつは何も言わない。けれど、結合部越しに、繋がった場所からあいつの感情が手に取るように伝わってくるのだ。苛ついている。けれど、メイジに強く出れないのだ。元はといえばこの状況を作ったのはあいつだ、助ける気どころか逃がす気すら毛頭もないのだとわかっていたはずなのにまだ傷ついている自分に吐き気がした。  絶対、絶対こいつの言いなりにはならない。それならばこのまま窒息死をした方がましだ。そう、血が滲むほど唇を噛んだときだった。  下腹部を突き上げられた瞬間、堪らず声が漏れてしまう。しまった、と思った瞬間捩じ込まれる性器に咽る暇もなかった。 「ん゛ぉ……ッ、ご、……ッ、ぉ……ッ!!」 「はぁ〜〜……っ、流石子供体温。吸い付く吸い付く……すげえな」 「……っあまり、虐めるなよメイジ」 「分かってるって、勇者サマ。……大事な大事なパーティーだからな」 「ぉぶ、ッ、ぅ゛……ッふ……ッ」  せめて噛み千切ってやろうと思うのに顎が外れそうなほどまで開いたそこは閉じることすらできない。  閉じ、拒絶しようとする喉まで抉じ開けるように侵入してくる性器に生理的な涙と嗚咽が溢れる。開いた唇の端から溢れる唾液を止めることすらもできなかった。息苦しい、痛い、そう俺が嗚咽する都度メイジの性器を締め上げるようだ、息を吐いたあいつはうっとりしたように「最高」と笑うのだ。そしてそのまま俺の首を固定し、更に喉の奥、口蓋垂ごと粘膜を塗りたくるように擦り上げてくる。  どくどくと上と下、別の鼓動、熱に支配され四散する意識の中、抵抗することもできず、ろくに声もあげられない。本当に自分がただの肉塊になったのだと錯覚せざる得なかった。 「っ、ん゛ぅ……ッ、うぅ……ッ!」 「はぁ……っ、いいねえ、そのまま喉で締め付けろよ、そうそう。ちっせえ舌、ちゃんと舐めろよ?勇者サマにしてるみたいにな」 「っ、ぅ、……ッ!!」  舌の上で這いずる熱い肉棒にただ吐き気がした。拒むこともできず、まるで口を性器のように使われる。  自分の置かれた状況を考えるのを脳が拒否している。いっその事記憶を消された方がましだと思えるほどだった。  どれほど時間が経ったのかすらも分からない。  一晩中二人に犯されていた気がした。起きているのか眠っているのかはたまた悪夢か現実なのかわからない頭の中。いきなり下腹部に違和感を感じ、目を覚ました。 「っ、え」  ここがどこなのか、そんな疑問なんかすぐに吹き飛んだ。 「……いつまでおねんねしてるんだ?スレイヴちゃん」 「ぉ、まっ、え……ッ!」 「安心しろ、まだ指しか挿れてねえから」  俺の足元、膝立ちになったメイジはそう笑いながら俺の腿を掴み、自分の肩に引っ掛けるように開脚させてくるのだ。剥き出しになった下腹部、側には捨てられた手袋があった。 「っ、や、め……ッひぅッ!」 「ああ、暴れんなよ。まだ催淫効果は切れてないからな」 「ぅあ、ッ、や、抜けッ!抜け……ッ、ぇ……ッ!」 「ひでえ声だな、まあ無理もないか。一晩中あいつに犯されてあんな声出してたらそりゃガラガラにもなるわ」  一晩中、という言葉に思い出したくもない記憶がフラッシュバックする。そして気づく、ここがあそこではないこと、そしてあいつの姿がないことに。  広いベッドの上、あのときとは違い体が動くことに気づいた俺は上半身だけでも這いずってベッドから逃げようとするが腹の中、臍の裏側を撫でるように指を動かされた瞬間意識が飛びそうになる。 「ぅ、ひ……ッ」 「やめとけやめとけ、もう諦めろ。お前は逃げらんないんだから」  どういう意味だ、と尋ねるよりも先に内壁、固くなった凝りをこりこりと撫でられた瞬間下腹部が跳ねる。「抜け!抜けって!」と声をあげるが、そこをくるりと指の腹で一撫でされただけでその声は悲鳴に変わった。 「ぁ、や、めろぉ……触るなッ、触るなぁ……ッ!っ、く、ひ……ッ!」 「あーあ、また中だけでイッたのか?はは、すっかり無駄チンポになったな」 「けど、そっちのが可愛いぞ」耳元で囁かれるだけでサブイボが立つ。それなのに撫でるように空いた手で脇腹を触れられると恐ろしく敏感になるのだ。全部、全部、こいつのせいだ。こいつのわけのわからない変態魔法のせいだ。細い指で撫でられただけで自分のものではないみたいに痙攣しっぱなしの内壁に怖くなる。ぶれる視界、メイジ、と睨めば、やつは笑った。 「勇者サマは今ならいないぞ。……本当あいつは難儀なやつだよな、見たくないだってよ、俺にお前が犯されてるの」 「っ、ぉ、……か……ッ」 「ああ、そうだよ。一度貫通すりゃ今更一緒だってのに。咥えるものが変わろうとな」 「ッ、ひ……ィ、や、めろ……ッ!」  ちゅぷ、と音を立て引き抜かれる指に息を飲む。自分の体がどうなってるのかすら考えたくなかったが、酷く熱を持ったそこにふぅっと息を吹き掛けられるだけで背筋が震えた。ビクビクと痙攣する腰を撫で、メイジは俺の腿に頬摺りをして笑うのだ。 「やめてほしいか?」 「……ッ、ぅ……あ……」 「今のお前の体はこの状況で止められた方がきついと思うぞ」  濡れた人差し指が盛り上がった肛門、その周囲の皺を撫でるように円を描く。つい先程まで異物を咥え込んでいたそこは恐ろしく敏感になっていた。無意識に全神経が集中するそこにメイジは笑う。 「吸い付くほど物欲しいのか?」 「す、いついてなんか……ッ」 「いい、恥ずかしがんなよ。一晩中咥え込んでたんだからな、モノ寂しくて仕方ないんだろ」 「ちが、ぁ……っひ、ぐ、ぅ……ッ!」  つぷ、と再度埋め込まれる指に下腹部がぎゅうっと反応する。違う、違うのに、こんなことしたいわけではないのにまるでメイジの指を待っていたようにきゅんきゅんと反応する下腹部に血の気が引いた。

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