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職業村人、パーティーの性処理要員に降格。※
どこを間違えたのか、どうすればよかったのか。
今更考えても手遅れだと身を持って知らされたあの夜、俺は気を失ってしまったらしい。
恐ろしいほど体が熱く、怠い。どれほど眠っていたのかも分からない。
意識が覚醒し飛び起きたとき、ベッドの縁に人影があることに気付いた。
「っ、い、ろあす」
咄嗟に名前を呼べば、勇者――イロアスは上体をこちらに向ける。近付いてくるやつに体が反応してびくりと震え、咄嗟に後ずさろうとしたとき。
伸びてきた手が動きを止め、離れた。
「……お前はまだ寝てていい。……腹は?減っていないか?」
何故、そんな風に話しかけてくるのか俺には理解できなかった。あんな真似をしておいて、よくも。
「……ッ出ていけよ、お前の顔なんて見たくない」
「スレイヴ……」
「最低だ、ナイトにまで、あんな……ッ」
そうだ。ナイト。
ひび割れたように乾いた咥内、声は枯れ、声を上げる度に喉が酷く痛んだがそれでも収まらなかった。
あいつは、イロアスはナイトの言葉にぴくりと反応したようだ。微かに見開かれたその目は俺を見る。
「ナイトは、本当に俺をただ心配してくれただけだ。お前のことも様子が変だって心配して……それなのに……ッ」
「…………ッ」
「出ていけよ、お前の顔なんて……ッ」
見たくない、そう近くの枕を手繰り寄せ、投げつければあいつは避けもせずそれを受け止めるのだ。ろくに手足に力が入らない今、止めようと止められたはずなのに。
あんな酷いことしておいて、させておいてなんでお前が傷ついた顔してるのか。理解できなかった。
「ナイトは、どこだ。ちゃんと無事なんだろうな……ッ!」
「……」
「イロアスっ」
黙りこくるあいつに痺れが切れ、その胸倉に掴みかかろうと伸ばした手首を取られる。冷たい指先の感触に条件反射で身が竦んだ。
また酷い目に遭わされる、そう身構えたとき。
「…………あいつは無事だ」
「っどこに……いるんだよ」
「聞いてどうするんだ?」
「決まってんだろ、あいつを連れて……ッ」
「無駄だ」
ぴしゃりと跳ね除けるような強い口調に思わず俺はイロアスを見上げた。強張った表情、冷たいその目に怯みそうになるがここで引いては駄目だ。
「なんでだよ」と聞き返せば、あいつは目を伏せるのだ。
「……そういう契約だからだ」
「契約?……っそれって」
「お前も俺たちと来てもらう、今まで通りな」
「っ、ふざけるな、あんなことしておいてよくも……ッ!」
そんなことが言えるな、と詰め寄ろうとしたとき、そのまま腕を引かれてぐっと顔を寄せられる。唇が触れそうなほどの距離を詰められ、「やめろ」と咄嗟に抵抗しようとするが遅かった。
「……元はと言えば出ていこうとしたお前が悪い、ナイトを誑かしたのもお前だ。あいつを巻き込んだのはスレイヴ、お前自身だろ?」
「っ、それは……」
「ナイトはまだ話が通じるやつだった。お前を一人でここに残すことは出来ないと、パーティーに残ると言っていたぞ」
「――ッ!!」
息が止まる。
あの日、あの夜、ナイトに抱かれた。
何度も謝罪を口にするナイトに貫かれたことを思い出し、血の気が引いたのだ。あのときもこいつは、イロアスはナイトを脅したのだ。
――俺を使って。
「ぉ……まえは……おかしい、こんなことするやつじゃなかっただろ……っ、ナイトは何も関係ないだろ!」
「……関係ある」
「っ、なにが……」
「あいつが来てから、お前は変わった。……っ、お前は、そんなことを言うやつじゃなかった」
イロアスの言葉が一つも理解できない。
変わったのはお前の方だろう、俺は何も変わっていない。それなのにまるであいつは俺をおかしくなったというかのように口にするのだ。
「ち、がう、俺は……っ」
違う。俺はおかしくない。おかしいのはお前だ、イロアス。そう言いたいのに、まだ頭が回っていないのか思考が纏まらない。
「……お前だけは、ずっと俺だけの味方だと思っていた」
呼吸が浅くなる。ふざけるな、ふざけるな。お前が、お前がめちゃくちゃにしたんだ。そう言いたいのにあいつの顔がまだ幼かった頃の泣き虫なあいつにダブるのだ。
「……ッ、俺を、一人にしないでくれ」
抱き締められる。わけがわからない。なんで、やめろ、やめてくれ。あんな悪魔みたいな真似をしたくせにそうやってまたあいつの面で俺に頼るな。
「やめろ、イロアス……ッんん……っ!」
嫌な予感がしたときには遅い。唇を重ねられ、何度もちゅう、と吸われる。いつもの獣じみた品のないキスとは違う、子供同士の遊びみたいな稚拙なキスだった。
「っ、や、め……っ、ん、ぅ……ッふ、……!」
離れたと思えばすぐに唇を重ねられる、こそばゆさと困惑に頭はパニックになる。それでも、あいつはしがみつくように、逃さないと言うように俺の後頭部を掴み、更に深く唇を重ねられた。
舌で舐められふやける唇。ちゅぽ、と音を立て唇を離したあいつは俺の下腹部に手を伸ばすのだ。
あんなキスだけで既に反応していたそこをすり、と手の甲で撫でられ息を飲む。
「っ、イロアス、やめろ……ッ」
「……お前はどうやったら諦めてくれる?……ナイトか?」
「あいつが居なくなればお前は余計なことを考えずに済むのか?」そう下着ごとずり下げられ、勢いよく溢れる自分のものに驚く暇もなかった。
笑っていないその目に背筋がひやりと凍りつく。
「っ、やめろ……ッ!あいつには手を出すな!」
「……」
「あいつに、手を出したら許さないからな……ッ!お前でも、絶対に……ッ!」
「俺、でも……ね」
頭を擡げ始めていたそこを指で弾かれ、腰が震える。やめろ、と止めようとするがあいつはそれを無視して溢れる先走りを指で絡め取るのだ。
「そんなへっぴり腰でお前に何ができるんだ?」
「ぁ……ッ!」
「……あいつはお前を守るために俺に従うことにした。けど、お前はどうだ?……何もできないくせに噛み付いて、ナイトの気遣いも無駄にするつもりか?」
「ぉ……ッぉ、れは……」
ただでさえ昨夜の名残も抜けきれていない今、ぬちぬちと音を立て人差し指と親指で作った指輪とそして掌全体で上下に数回扱かれるだけであっという間に全身の神経が性器に集まる。
先程よりも明らか芯がしっかりするそれに、イロアスはぎゅっと根本をきつく握り締めた。食い込む指に驚いて飛び上がりそうになる体。せっかく
達しそうになったところを阻害され、行き場を失った熱が下腹部、その奥でくすぶる。
「っ、ぃ、ろあす……ッ!」
「……言えよ、二度と俺から離れないって」
「っ、だれが……ひッ!」
言うもんか、と唇を硬く結んだとき。大きく股を開かされ、無防備に曝されてしまう後孔に片方のイロアスの指が触れる。
一晩中何度も出し入れされたそこはまだ感覚が戻っていない、それでもこちょこちょと捲れ上がったその周囲の盛り上がった肉を撫でられた瞬間恐ろしいほどの快感が蘇ったように腰がびくんと跳ねた。
「っ、ぁ、や……ッ、やめろ……ッ!」
「犯してくださいって言うんだ、スレイヴ」
「ふ、ざけるな……ッ、誰が、……っ、ぁ、……ッ!」
ぬぷ、と指を挿入され堪らず腰が震える。
最初はあんなに異物を拒んでいた体は寧ろ待ち望んでいたかのように挿入されるあいつの指に絡みついていくことに気付いて顔が、全身が火照る。
「っ、や、抜け……っイロアス……ッ」
「……おい、腰が揺れてるぞ」
「ち、が……ッ」
「お前は、男だったら誰でもいいんだろ?」
「ちがう、そんな……ッ、ひッ!」
追加される指に腫れ上がった体内、その粘膜を撫でるようにぐるりと指を動かされればそれだけで腰がくねる。気持ちいい、なんて思いたくない。それなのに、イロアスに握り締められたままの性器がびくんびくんと揺れるのだ。
違う、俺は、こんなことしたくない。それなのに。俺の性器から半透明の液体がたらたらととめどなく溢れ、イロアスの指までも汚しているのを見て頭に血が昇る。
こんなこと、大したことないはずなのに。恐ろしいほどの快感に一瞬にして昂ぶる己の体に恐怖すら覚えた。
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