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王都6(エディ視点)

 留守中に滞っていた事務仕事がようやく落ち着いたところで軍の編成と訓練の指揮をとることになり、予想していたとはいえ俺の忙しさはピークに達していた。それでも体力だけはある為、とにかく働いた。ルシモスもフィルの診察や授業をしながら俺の仕事をよく手伝ってくれている。  とにかく、俺に最終決定権があって仕事が回ってくるとはいえ、作業を分散させなければならない。まず行ったのは、ルシモスの部下として准補佐官を何人か定め、俺たちの手足を増やすことだった。  軍隊の編成と言っても人選を全てこちらで担ってしまうと、とてもじゃないがひと月で飛竜と渡り合えるところまで訓練を終えることなどできはしない。編成だけでいくらでも時間が流れてしまうからだ。  そこで、主要な魔力の色毎に代表を決め、准補佐官とする。別にこれは隊長になる器の人間じゃなくていい。人を見極め、事務処理もできる人間でなくてはならない。その准補佐官に今回の戦法を伝え、ある程度各色の人選を任せることにした。    竜種との戦闘は難しい。いくつか対抗策はあるが、今回はまず部隊を火の隊、水の隊……というように同じ属性毎に分けてしまう。  竜鱗は強力な断魔材なので、並大抵の魔法では弾かれる。そこで各隊毎に力を合わせて魔力を束ね、魔法を練り上げる方法を取ることにした。基本的に魔導師たちが中心となり魔法のイメージを固め、騎士はそれを守りつつ、素養のあるものは魔力も提供する。  同色で固めてしまえば多少摩擦痛があっても治癒もできる。    ただこれは各隊ごとにかなり精密な連携が必要になるし、隊の中心となり魔法を練り上げることのできる、優秀な王宮魔導師の偏りによっては、火だけ騎士が100人必要で、水は10人でいいなんてことが起こりかねない。  その為の各属性ごとの准補佐官だ。彼らには人員の選定と隊の編成案を受け持ってもらうことにした。    訓練には、兄上……魔道具開発局のクリス局長にも協力を仰いだ。竜鱗を想定して、訓練ではある程度魔力を通さない素材でできた的が必要になる為、その作成を依頼した。  また、実際の竜鱗がどの程度の魔法までを弾くのかしっかり見定めなくてはならない為、竜鱗をなんとか入手させてその性質を調べてもらうことになった。訓練用の的の強度も、それに合わせて何度も調整を重ねてもらう必要がある。  隊の動きの中でも特に、同属性とはいえ微妙に異なる色の人間の魔力を束ねる訓練は、何度も反復練習をしなければならない。  更にその訓練の成果を報告して、戦闘に使える魔道具や武器防具の管理も魔道具開発局に担ってもらうことになった。    本当に時間がない。    俺は更に懸念材料を減らす為、王宮魔導師達が暮らす塔を訪れていた。   「……エドワードか。またお前の至純用に新しい衣服が欲しいのか?」    俺は思わず険しくなる眉間を揉んだ。  リチャード・リル・リグトラント。この国の第一王子。美しい金髪と金目、整った顔に華奢な体。間違いなく精霊の愛し子である兄上は、この国で最も優秀な光の魔法の使い手だ。   「別件です。内密の話です。人払いと断音をしていただけますか」   「わたしはお前の白兎の話はもう聞きたくない。戦が終わるまで常に塔にいるわたしでは、どれ程自慢されようとも愛でられないというのに」   「兄上!今日はフィルの話では……ッ!」   「……おや?フィル……だと?フィシェル殿ではなく?普段はそう呼んでいるのだねぇ、エドワード。もしかして、自分のことはエディとでも呼ばせているのではないか?」    俺は顔を顰めた。それを見てようやく満足したように、兄上は長い金髪を払う。一連の会話で誂われたのだと分かった。   「くっくっ……お前もわたしも、本当に王子が向いていないな」    兄上がようやく自室に通してくれる。ソファへ座るよう促され、ため息をつきながらそこへ座った。  しかし使用人たちが出て行かず、ひたすら世話を焼いて控えるので俺は堪らずもう一度兄上に言った。   「兄上……内密の話です。使用人を下がらせて下さい」   「……心配しなくとも、もう彼らにはわたし達が見えていないし、声も聞こえてはいない。光が理を屈折させ、もはやわたし達はいま此処にいて、此処にはいないのだから」  …………は?  思わずそう声が出そうになって、俺は慌てて息を呑んで誤魔化した。  他国の魔術師はよくリグトラントの魔導師を「魂と魔力の色で精霊にイメージを伝えるだと?……何を言っているのか全然わからん!化物どもめ!」と評するらしいが、この国で最も火力のある俺でさえ兄上の言葉は理解できなかった。   「顔に出ているよ、エドワード。何を言われているのか分からないとね」   「はあ……正直全然わかりません」   「わたしより遥かに強力な光を持ち合わせているくせに。聞いたぞ、太陽だとな。昔から違和感があった。お前、光の魔力を使わぬようにしているね?」   「それは……使ったところで、使いこなせていないので」   「ふぅん、それならわたしの魔法は聞いたところで理解し得ないだろうよ。一般的な理論とは異なる場所にあるからね。ところで使いこなせていないと言うが……全く使えないのか?それとも何ならできる?」   「……夜の戦場を昼間にしろ、と言われればできるのですが……例えばこの部屋にランプを一つ追加しろと言われても、さっぱりできないのです。……フィシェル殿の」   「わたしの前ではもう"フィル"でいいけれど」    当然俺はその兄上の言葉に返事をしなかった。   「……フィシェル殿のベールも、自分で理論を組み立てることはできても実際に作ることはできなかったので、兄上に頼んでいたのです」   「なるほど、力が強すぎて己で細微な操作が出来ないのか。火と地を自在に統べるお前がそういうのなら、わたしが手助けできることもないな」   「兄上には、フィシェル殿の衣服の件で十分助けていただいています。俺の考えた魔法理論をあれ程再現し生かせる光魔導師は、この国では兄上だけでしょう」   「あれは中々面白い発想だね。ベールのレースに魔法を張り巡らせ、遮光するだなんて……ご婦人方の間でも流行りそうじゃないか?フィシェルが社交界に出れば、きっと皆真似するようになる。今から忙殺されてしまう未来が視えるようだ」    社交界、と言われて俺は肩を竦めた。まさかフィルをあの世界に晒すなんて……とてもじゃないがそんなつもりはない。俺がそう返すと、兄上は美しい顔に綺麗な笑みを浮かべた。   「どうして?何が起こるかなんて分からないだろう。フィシェル本人から社交界に出たいと言ってくるかもしれないよ」   「フィシェル殿は……まだ社交界の存在すら知りませんよ」   「……ふふ、まあいい。まずはオルトゥルムのことだ。エドワード。本題に入ってくれ」    俺は溜め息をつきながらも居住まいを正した。   「王城だけでもいいので、空を飛ぶ竜の目から逃れられる結界を張ってほしいのです。訓練の様子を空から見られては困るので」   「ああなるほど、それならわたしが適任だね。分かったよ。このあとすぐやっておこう」   「ありがとうございます。本日はそれだけなのですが……」    兄上は基本的に気に入った人間としかやり取りをしないので、これだけの要件でもわざわざ出向く必要があった。さっさと戻って仕事の続きをしなければ。  立ち上がろうとする俺を手で制すと、兄上は美しい所作でお茶のカップを手に取った。先程よく分からないことを言われたので心配だったが、兄上が俺たちを隠している魔法は普通にお茶を飲んだりするくらいはできるらしい。ますますどんな魔法なのか分からないが……今はそんなことを考えている時間はない。   「あの……兄上?まだ何か……」   「そのうちフィシェルをここに連れてきておくれ」   「何故また……」   「フィシェルの目を研究すれば、魔力視とやらも軽減してやれるかもしれん」    俺はクリス局長が話したのだと理解してため息をつき、ソファへ座り直した。せっかくなのでお茶を一口飲む。  フィルの魔力視については、今後オルトゥルム側と接触する機会の事も踏まえ、フィルがオルトゥルムのハーフだと知っている人間には必要ならば話しても良いだろう、と父上が決められた。クリス局長には話を聞かれてしまった為に打ち明けたが、当然あまり言い触らして良い訳ではない。兄上にもいずれ話す事になるだろうとは思っていたが……   「兄上……お気持ちはありがたいのですが、その話はどうかご内密に……」   「ふふ……わたしもクリスには釘をさしておいた。案ずるな、向こうもわたしのみに話すつもりだったようだ。クリスとて、フィシェルの為を思っての事だよ」    俺はその綺麗な顔から視線を外した。もう三十になるはずの兄上だが、柔らかく微笑まれると大抵の人間が赤面する。俺は流石に赤面まですることはもう無いが、目に毒ではある。美しいからも勿論あるが、精霊の愛をこれでもかと注がれているのが本能で分かり、この国の民ならば羨ましいと思ってしまうのだ。  俺もかなり精霊の加護を受けているし、何より目の前の人物は血の繋がった兄だが、流石にずっと視界に入れ続けることは難しい。兄上はそういう事情もあり、選んだ人間のみと会っているのだ。もしかすると、使用人には例の魔法を使って殆ど姿を見せていないのかもしれないとさえ思った。   「しかし……フィシェルの体質に関しては、エドワードがフィシェルを染めてしまえば問題がなくなる可能性が高いけれど」   「……兄上も、そう思われますか」   「目で視ているということは、大抵のことは光の領域だからね。フィシェルが太陽の魔力を手に入れれば、あの体質が丸ごと改善する可能性がある。光に強くなれば魔力視酔いも軽減されるだろう」    俺は確かにそうだと頷いた。その可能性はラートルム兄弟にも指摘されている。しかし、今は……   「今は、まだ……」   「そうだな。だから一度見せに来いと言っている。外に連れ出す事もあるのだろう?」   「……それは、そうですが……兄上がフィシェル殿を見たいだけではないのですか?」   「ふふ……とても美人だというじゃないか。わたしの隣に置いて比べてみよう。この顔を見慣れているお前が、溺れるほどなのだろう?」    俺は兄上とフィルが並んでいるところを思い浮かべた。二人ともかなりの美人だが……兄上はすらりとしていて、凛とした雰囲気があり、フィルはどことなく柔らかく、可愛らしい。方向性の違う二人が隣り合うと……死人さえ出るのではないか?それくらい威力のある光景になる気がする。  魔力視について調べてくれるのは本当なのだろうが、兄上の今の口ぶりからしてフィルを見たい気持ちの方が強いのだと悟った俺はため息と共に返事をした。   「……考えておきます」    そう言うとまた兄上の唇は美しく弧を描いた。        一度隊舎へ戻り、ルシモスに報告をしてから早めの昼食をとる。その後業務を確認し、急ぎの書類に判を押す。  今日はまだ比較的余裕がありそうだったので、ルシモスに他の外出も済ませてしまうように言われた。確かに准補佐官による人員の選定が終わり、俺の出番が本格化する前に用事は済ませておいたほうがいい。    午後、俺は久し振りに母上たちのいる後宮を訪れていた。流石にそろそろ母上へ色々と報告をしなければ、向こうからルセアに突撃され兼ねない。  母上たちは昔こそ色々とあったそうだが、子供たちがほとんど大人になり皇太子も決まった今現在は、皆仲が良く全員が実の母親のように接してくれている。  俺が入り口で話を通すと、ちょうど通りかかったアリーベル妃が声をかけてきた。 「あら?エドワード?」    アリーベル・リグトラント妃は、四人いる王妃の中で唯一庶民の出である。父上が地方へ視察に出掛けた際に見初められ、そのまま王妃の一人となったのだという。  しかし最初は庶民の出であった為に苦労が多かったそうだ。彼女はマーク町長とウィリアムの母。マークは何とも言えないが、ウィリアムは皇太子としては未だ妃がいない事以外は優秀なので、息子が皇太子になってから彼女への風当たりは随分マシになったらしい。  後宮には隠居した先代やその妃達もいて、老いて動けない者も多い。王妃達はその世話を焼くのだが、主にそこから庶民だということでつらく当たられたと言う。  しかしそれを知った母たちが手を取り合って励まし合い、結束したので、アリーベル妃も心を壊すことなく元気にやっている。  父上いわく、妃達は皆平等に愛を注ぐべきなのだとか……そうすれば喧嘩もなく上手くやっていけるようになるらしい。フィルしか見えない俺には理解出来ないが、四人の母たちは実際に仲良くやっているので父上の言う事は正しいのだろう。  俺はアリーベル妃に挨拶をした。   「お久しぶりです、アリーベル様。実は……」   「分かってるわ。フラーティアに会いに来たんでしょう?」   「……そうです」   「うふふ。いつ話しに来るかと待っていたわ。いらっしゃい、フラーティアは中庭よ」    俺は何もかも見透かされたような気分になり、大人しく案内してもらうことにした。  母上は中庭で生け垣の手入れをしていた。香りの良い花々を摘み取り、香油や香り袋にするのだそうだ。  フィルも……もしかしたら、そういうものが好きかもしれない。アーニアへの贈り物の話を聞いたときは本当に驚いた。俺より余程女性を喜ばせるのが上手いと思う。フィルは刺繍をする為か可愛らしいものによく興味を示すし、感性が近いのだろうか……?  俺が一人で考えていると、アリーベル妃が小さく手を振って中庭へ駆け出した。   「フラーティア!」   「あらアリーベル、どうしたの……って、エドワードじゃない!ようやく来たわね!」    母上は燃えるような赤い髪と目をしている。美しい人だが纏う色が赤すぎるほどに赤いので、どことなく苛烈な印象を持たれてしまう人だ。母上達は皆四十代だが、全員若々しく活力に満ちている。その中でも俺の母上は特に元気がある……と思う。フレディアルの血の所為かもしれない。   「フラーティア、残りは私が預かるわ。サラーサに渡しておけば良いのよね?」   「ええそうよ。じゃあお願いしてもいいかしら?」   「もちろん。エドワードとゆっくり話していらして」   「助かるわ。ありがとう」    母上は花籠と鋏をアリーベル妃へ預けると、颯爽と俺の元へやってきた。そうして俺の鼻面にビシッと指を押し当てる。俺は思わず後退った。   「お前には聞きたい事が山程あります!いらっしゃい!」    俺は眉尻を僅かに下げて頷く。如何に王国最強などと言われているとはいえ、自分の母親には流石に敵わない。    自室に通され、母上手ずからお茶を淹れられて、完全に人払いがされているのだと気が付く。確かに音や人の気配がない。俺も母上も魔法が断音にそこまで向いていない為、内密の話をする際にはこうして人払いをするしかなかった。   「母上、俺がやりま……」   「別に良いわ。これくらい。それより早く話しましょう。仕事、忙しいのよね?」 「はい……まずは諸々報告が遅くなりまして、申し訳ありません」    俺が謝罪すると、母上はため息をついて向かいのソファにもたれ掛かった。   「……姿絵を見たわ。至純様は……リナトワの息子よね」   「……ご存知なのですか?」   「私の妹になるはずだった女性よ。私も仲が良かった……一緒にいたのはリアターナで出会ってからテアーザで別れるまでだけれど、私は彼女のことをとても気に入っていたわ。真っ直ぐで、光に愛されていて、とても美しい……それこそ太陽のような人だったわ……」    母上はお茶を飲んで窓の外を眺めた。柔らかい秋の午後の日差しが中庭に降り注いでいる。   「あの子、オルトゥルムへ行ったのね。私……何も知らずに送り出してしまったわ。好きな人ができたって言うから……」   「母上……」   「その時は私もすでに後宮入りが決まっていて……そもそも、リアターナへの旅行がお父様からの贈り物で、私にとって独身時代の最後の自由だったの。だから……当時の私はあの子が自由に生きていけるなら、それもいいかと思ってしまった……」    母上の目が一瞬だけ潤む。 「でも、まさかオルトゥルムの人間と結婚していて……その息子が白竜の御子であり、至純様でもあるだなんて。名前は……フィシェル様と言ったかしら?エドワード……あなたフィシェル様の事を愛していけるの?」   「はい。俺はフィルを愛しています。至純だからではない。例え彼が補色でも、俺はフィルに溺れていたでしょう」    この国で最上級の愛の例えを出すと、母上は目を丸くしていた。   「私は……血の繋がった孫を見られないかもしれないわね」    母上がそんな俺に冗談めかして微笑みかけるが、俺は大真面目に答える。心は既に決まっていた。   「それは……見せることができません。母上、申し訳ありません」   「ちょ、ちょっと……あなたたちこの状況で、もうそんなところまで話が進んでいるの?不染はもちろん保っているのよね?」    俺は頷きつつも眉根を寄せてお茶を飲んだ。母上が狼狽え出す。   「……エドワード。まさかとは思うけれど……相手には気持ちがないなんてことはないでしょうね。一方的な感情を押し付けて強引に連れてきて……と、閉じ込めていたり……なんてこと、ないわよね。思えばあなたは恋愛には本当に無頓着な子だったから……」   「フィルも俺の事を好いてくれています」   「……一度連れてらっしゃい。いえ、今から呼んだっていいわ」   「いえ、それは……」    俺が嫌がると、母上は目を僅かにつり上げた。   「もう!フィシェル様はまだあなたのものではないけれど、私の妹の息子なのよ!」 「フィルは俺の……」   「それが一方的でないと母に確かめさせて頂戴!」    母上はこめかみを押さえて呻いた。   「うう……エドワード。お願いよ。確かに戸籍上は何もないとはいえ、私にとって甥っ子同然なのよ。フレディアルの……アレクスやアレビナと一緒なの」    俺はため息をついて立ち上がり、外を通りかかった侍女にレアザへ使いを出すように要件を伝えた。  従兄弟の名前を出されて、流石に納得するしか無かった。今のフレディアル家には少々問題があるが、母上があの兄弟を可愛がっていることは俺も良く知っている。   「フィルを呼びました」   「……いいでしょう。素直に呼んだ時点である程度納得もできたわ」    母上は疲れたようにソファの背へ身体を預ける。   「オルトゥルムの事はどうなの?呪われた始祖賢竜を滅ぼすのだと聞いたわ」   「ええ。過去に俺と同じ魔力を持っていた精霊が、退知の呪いをかけました。その力は非常に強力で、周りの人間にも被害が及んでいるとか。俺が戦えという精霊の言葉もあります。やるしかないでしょう」    母上は眉尻を下げて心配そうにこちらを見た。   「……あなたを強く丈夫に産むことができたのは、母として誇りに思っているわ。でも時々……あなたがか弱ければ、その運命はもっと優しいものだったのじゃないかと……思ってしまうわ」    俺は静かに首を左右に振る。   「俺は……今この状況すら良かったと思っています」   「え?」   「フィルには俺しかいないと……そう実感できるので」    俺の言葉に母上は、しばし絶句していた。        

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