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第一章・21

「早く!」  思わず荒げたギルの声に応えて、ルキアノスの大きな手のひらが腰を掴んできた。  ぐりっ、と太い指が挿入ってくる。  ずぶずぶとすぐに奥まで挿れられ、痛みが走る。  ルキアノスの指の節が、内壁を擦って微妙な快感を運ぶ。  口を薄く開け息をゆっくり吐きながら、ギルはルキアノスの動きに身を任せた。  先ほどまでのルキアノスとは違って仰向けの自分の姿勢では、彼の動きが手に取るように解かる。  聡明な瞳が、色欲に眩んでいる。  わずかに振るうだけで岩をも砕く指先が、慎重に体内を探ってくる。    彼の体だけでなく、精神までも支配しているという快感が、途方もなくギルの身に走る。 「この辺り、か?」 「んんぅッ!」  ルキアノスの指が、ギルの前立腺に触れた。  異様な感覚だ。痛み、とも違うし単なる快感とも言い難い。  ただ、奇妙な幸福感がギルを包み込んできた。 「そこ……もう少し……」 「うん」 「あぁッ! あ、あ、あぁ……ッ!」  呼吸が浅くなる。  気持ち悦すぎて、苦しい。  ギルは意識して深呼吸を続けた。  後膣の奥深くから腰全体にわたって、強い快感が走る。  腰から太腿にかけて痙攣が始まった。  初めて味わう恐ろしいまでの悦楽に、ギルは悲鳴をあげた。 「だ、駄目だッ! ルキ、ルキアノス、挿れてくれッ!」  指ではなく、彼自身でイかせてもらいたい。  身も心も虜になってしまっているのは、ルキアノスだけではなかった。

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