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第二章・3
シャワーを浴びながら、ついでに汚れたパジャマを軽く手洗いする。
この時間が、我ながら何とも情けないのだ。
こびりついた精液を落としてしまうと、あとは洗濯機に放り込んでお任せした。
濡れた体を、髪を乱暴にタオルで拭きながら、まだギルのことを考えていた。
そういえば、子どもの頃もギルとキスする夢なんか見て夢精したような覚えが。
これは、認めるどころか理解までし始めているのかも。
先だって、ギルの部屋でニネットの持ち込んだ妙な薬を飲んで見た淫夢。
あれがきっかけで、また彼を相手に夢精に耽るようになってしまったのだ。
あれは、本当に夢だったのか。
夢にしては、やけに生々しかった。
もし、夢でないとしたら。
現実だったとしたら。
は、とルキアノスは我に返り、ぱんと両手で自分の頬を叩いた。
くだらんことを考えるな、と自分を諌める。
たとえ現実だったとしても、これから俺にどうしろと?
ギルに告白でもして、お付き合いをお願いするのか?
詮無い話だ、と服を着た。
今日は、そのギルと新しい訓練プログラムを受けることになっている。
今までにない、斬新なシステムだというから下手を打っては事だ。
甲冑を着けない修練ではあるが、それなりに気を引き締めてかからねばならない。
ギルへの思いはバスルームに置き去りにして、ルキアノスは部屋を出た。
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