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第二章・6

『彼』の声は実に嬉しそうに弾んでおり、よほどの自信作と見える。  ルキアノスとギルは互いに顔を見合わせると、くすりと笑った。 「無事に生きてここを出られるかな」 「ファタルの御加護を」 「なお、このコアが発するセンサーに一定値以上の線運動量m・rVを加えると、エネミーは消えるよう設定されています。なるべくコア本体は壊さないように願いますよ。高くついたんだから」  一体どこまで真面目なのやら。  しかし、おふざけはここまでだ。   ばん、と照明が落ち、辺りは闇に包まれた。  次第に眼が慣れてくる。  隣に立っている自分のパートナーの輪郭が、ようやく見える程度ではあるが。  そして、構える間もなく周囲に数体のエネミーが現れた。  これらを全て片づけることができれば、この暗がりから出していただける、という寸法だろう。  緊張はするが、心地よい高揚感もある。  そんな中、ぼんやりと浮かぶエネミーたちの影が、ゆらりと動き始めた。 「来るぞ」  ギルの掛け声とともに、ルキアノスは彼からすばやく離れた、というより飛んだ。  一飛びで、目前まで迫ったエネミーから遠ざかる。  暗闇の中に浮かぶ敵の速さは、俊敏とは言い難い。  映像とはいえ、機械でできたコアを持つ実態でもある。さほど高速では移動できないに違いない。  そう考えたルキアノスだったが、すぐに自分の判断が誤っていたことに気づかされた。  充分に距離を取ったはずのエネミーが、まるで瞬間移動でもしたかのような速さで自分の前に立ちはだかってきたのだ。 「くッ!」  身を翻すと、ぴしり、と細く青い閃光が散った。  間一髪。  もう少し遅かったら、剣呑な電流を喰らっていたところだ。  来る。  次々と、湧いてくる。  何人いるんだ、こいつらは!  

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