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第二章・9
『敵単体がそれぞれ速いわけではない』
『相手も協力し合って攻撃している』
『見た目に惑わされるな』
「そうか!」
ギルがかわしたエネミーが消え、すぐにその右斜め下から現れ拳を撃つ。
ルキアノスは、その出現を待ち構えたかのように、鋭いローキックを繰り出した。
ポーン、と鳴り響く合図音。
これでまた、一体撃破だ。
「つまりは、モグラたたきだな」
ルキアノスの例えに、ギルはくすりと笑った。
間違いではないが、未だ厳しいこの状況下で何と間の抜けたことを。
叩いたと思ったモグラが消え、全く違う穴から出てくるのは、この一匹のモグラが行ったり来たりしているわけではない。
複数匹のモグラが、現れたり消えたりを繰り返して、まるで素早く移動しているかのように見せかけているに過ぎない。
エネミーも、これと同じだ。
こちらで映像を出したコアがその立体画像を消したと同時に、暗闇に紛れていた別地点のコアが映像を映し出す。
一見瞬時に移動したかのように見える木偶は、実は全く別のものだったのだ。
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