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第二章・11
「もらった!」
これで最後の木偶に、ルキアノスは拳を撃ち込もうと腕を引いた。
だが、その手がびくりと震え瞬時に留まった。
「ギル!?」
眼の前に現れた姿は、目鼻のない木偶ではなくギルの顔だったのだ。
俺は、ギルに拳を入れようとしている!?
攻撃をためらったルキアノスの隙を逃す機械ではなかった。
青白い光が瞬いたかと思うと、ルキアノスは思いきり後ろに突き飛ばされていた。
体勢を整えながら見た光景は、自分の身代わりにAC4ものダメージを人体に与える交流電流を受けるギルの姿。
そして、忌々しいほど澄み切った撃破の合図音だった。
ギルに拳をくらったギルが、消えてゆく。
「……まさか、味方の姿に化ける仕掛けまであったとはな」
「ギル!」
肉の焦げる生々しい匂いが、ギルの体を抱き留めるルキアノスの鼻に漂ってきた。
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