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第二章・15

 ふいに現れたルキアノスにギルは一瞬だけ眼を円くしたが、すぐに顔を上に向けてシャワーの水圧を心地よさげに受け止めた。  5連もシャワーは並んでいるのに、ルキアノスはギルの使っているすぐ隣の蛇口を捻って水を出した。  水を使いながらも、ギルの方ばかりちらちらと伺うルキアノス。  解かっているよ、ルキアノス。  君は私がこうして許せば許すほど、罪悪感を感じるだろう?   この背中の火傷を見ると、胸が張り裂けそうになるだろう?  ギルは、故意にルキアノスにその火傷の痕の残る背中を向けた。  痛々しい、赤い爪痕を見せつけた。 「ギル」  つと、ルキアノスの手が、ギルの肩に触れてきた。  体にかかる水の量が減ったことを、ギルは肌で感じた。  ルキアノスが背後からその身をぴったりと寄せてきているので、彼に降り注ぐ分の水がギルの体に落ちてこないのだ。  水で冷えた肩に、ルキアノスの手がやけに熱い。  やがてその指先が下に伸び、火傷の後に触れた。  そして。  指より、もっと柔らかい肉が背中に触れた。

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