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第二章・17

 ここまでだ。  俺がやった事は、あくまで治療。  やましいところなど、ない。  いや、あってはならないんだ。  だがしかし。  緩やかに勃ちあがり始めている、この体の中心は何だ。  何て恥知らずなんだ、俺の体は。  そこで、肩に置いたルキアノスの手にふぅと柔らかな息が吹きかけられた。  肩越しに、こちらを見ているギルの眼。  引き込まれそうな妖しいまなざしに、震えが来た。  そして。  指先に、キスが落とされた。  小さな音を立て、ギルが指を吸ってきた。  甘噛みし、その半ばほどを咥えこんで舌で舐めてくる。 「ギル……?」  誘わないでくれ、眼が眩む。 「……ありがとう、ルキアノス。いい気持ちだ。もう少し、やってくれないか?」  治療だ。  これは、治療を続けてくれという意味なんだ。  ルキアノスは、必死で自分にそう言い聞かせ、再びそろりとギルの背中に舌を這わせた。 「あっ……ん、いい、な。すごく気持ち、いいよ……」  ギル、よしてくれ。  そんな声を上げないでくれ。  知っているのか? 俺がお前に抱いていた想いを。  解かっているのか? あの事があってから、俺がお前を毎晩のように夢の中で犯していることを。

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