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第二章・22

「もう……もう駄目だ、ルキアノス。離してくれ。出そう……だッ!」  その言葉に、ルキアノスは離すどころか腰を支えていた片手を前に滑り込ませ、ギルの性器を扱き始めた。 「やめッ! あ、あぁ!」    夢じゃない。  これは、夢なんかじゃない。  ギルを愛しながら、ルキアノスは二つの思いに身を引き裂かれそうだった。 『こうしたかった、ずっと』  子どもの頃から、大好きだったギル。  大人に近づくにつれ、離れてしまう心が、見えなくなってゆくギルの心を感じるのが、辛かった。  こうして抱きあって、ずっとずっと二人溶け合っていたかったのに。  『ついに、やってしまった』  これでもう、後戻りは出来ない。  この後、ギルは俺をどんな眼で見るようになるだろう。  呆れ果て、軽蔑し、恐れるようになるだろうか。  もう二度と、口もきいてくれなくなるかもしれない。  

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