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第二章・23

 だが、このひとときは甘美すぎた。  愛してやまなかった人と、一つになれる喜び。  抑えに抑えていた感情を爆発させる、開放感。  なにより、ギルは嫌がってはいない。  本気で嫌なら、俺を振り払い、逃げ出すことなど簡単にできるはず。  俺を叩きのめし、悠然と部屋から出ていくこともできるはず。  震え、喘ぎ、悲鳴を上げるギル。  身をよじらせ、その悦楽を共に貪っているその姿。  ひくうっ、とギルが大きくのけぞった 「あぅッ!」  ルキアノスの掌のなかに、温かな粘液がもたらされる。  大量の精液はルキアノスの手から流れ落ち、シャワーの水で排水溝へ吸い込まれてゆく。  手に粘りが残っているうちに、ルキアノスはそれをギルの分身に絡ませ撫で上げた。  愛おしげに、やんわりとゆっくり撫で上げた。

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