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第三章・3
少なくとも1日に1回は顔を合わせるルキアノスが3日も姿を見せないとなると、ギルも何やら不思議な心地がした。
いつもそこに、私の側にいるはずの男が、いない。
心配、というわけではない。
ただ、違和感を感じるのだ。
幼い自分が聖獣・ザンの神騎士となった時、上にいるのはルキアノスただ一人だった。
ギルを導き、過酷な訓練に付き合い、まだ不慣れな任務に同行して助言ができるのは、彼だけだった。
ギルはルキアノスに、憧れていた。尊敬していた。
そしてそれは、徐々にギルの心を蝕んで行った。
どんなに手を伸ばしても、どんなに背伸びをしても、決して彼には追いつけない。
そしてそんな私の妬みやら嫉みやらをも、包み込んでくるルキアノス。
跳ね返し、嘲られた方がまだましだったと思う。
おそらくは、こんな私の心の澱に勘付きながら、それでも両腕を拡げてくる。
すべてを受け入れようと、待っている。
やめろ。
そんなものは、君の慢心だ。
私の心の闇の深さが、君に解かるはずもない。
は、とギルは眉間に中指を当てた。いつのまにか、表情に険が立っている。
眼を軽く閉じ、ふぅと一息ついた。
ルキアノス。
いてもいなくても、私をここまで苦しめるのだな、君は。
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