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第三章・12
自分の掌に自分のペニスが当たり、ギルは息を呑んだ。
すっかり硬くなり、そそり立っている自分自身。
それを、ルキアノスが手を添えて擦らせ始めたのだ。
「や! ダメだッ! ルキアノス、やめ……ッ!」
「自分でやってみろ。もっと悦くなるから」
拒んでも、力づくで自らを弄らされた。
ルキアノスの唇が耳を食み、舌が咥内を凌辱し、掌が体中を撫でさする。
彼の硬いものが腹を擦り、太く節張った指が体内を嬲る。
「あ。はぁ、はぁ。あ、あぁ……」
うっとりとした響きを含んできた、ギルの声。
彼の掌は、いつの間にかルキアノスが手を放しても、自らのものを夢中で扱いている。
ギルの喘ぎが速くなり激しさを増したところで、ルキアノスは彼の根元をしっかりと押さえて射精を封じた。
「あぁ……ルキアノス……」
哀願するギルの声色は、すっかりルキアノスの手中にはまっていた。
射精を封じられた事でギルの身体は一度二度と痙攣し、あとはぐったりと力が抜けた。
胸が大きく動き、深い喘ぎが絶え間なく漏れる。
ルキアノスは、ようやく自分のペニスにローションを絡ませた。
ギルの内は、すでにたっぷりと性感クリームでとろとろにしてある。
つぷ、と先端だけギルの入り口に挿れた。
すぐさま蕾は開き、ルキアノスを呑み込もうと収縮してくる。
そこを、抜いた。
抜いて、また先端だけ挿れる。
ぐりぐりと入口に擦りつけると、ギルは眉根を寄せて大きな息を吐き仰け反った。
「どうして欲しい? ギル」
意地悪く、そう声をかけた。
仰向けのギルはルキアノスと眼を合わせたが、その焦点は怪しい。
媚薬で正気を失い、完全に意識を飛ばされていた。
「あれは夢かと思ってたけど、今こうやってみると現実だったんじゃあないかと思えるよ」
自分の声も興奮しているのが解かる。
以前、ニネットがギルに渡した媚薬。
あれを本物かどうか試すという理由で、ギルに飲まされた。
目覚めると、何事もなくただ自分は寝入ってしまったのだとギルは笑ったが、どうだか。
ギルを抱いた淫夢。
あれは、本当のことではなかったのか?
「ギル。そうまでして、俺が欲しかったってこと?」
愛おしげに頬を寄せ、ルキアノスはギルの体内へと挿入り始めた。
「あ、あぁ、ぅあ……」
ずっ、ずっ、ずるっ、と腰を進めるたびに、ギルの声が上がる。
半ばまでで止めて、硬く眼を閉じ喘ぐギルに囁いた。
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