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第四章・17
引き裂かれたシャツに、ソックスも靴さえも脱がされた剥き出しの下半身を晒すギル。
彼に比べれば、ルキアノスはまだましな恰好だ。
前をはだけてはいるがシャツには袖を通しているし、ボトムも前を除けばきちんと身につけている。
そんな姿を、ルキアノスは自ら崩し始めた。
靴を脱ぎ、ソックスを脱ぎ、ボトムもすっかり脱いでしまった。
そしてギルは、そんな彼から目を逸らさずに準備が整うのを待っていた。
「ルキアノス」
静かに彼の上へ体を被せ、緩やかなキスをした。
「……ッ!?」
途端に舌を噛まれ、ギルは反射的に身を離した。
「挿れてくれ、ギル。今すぐに。君の味わった痛みを、俺にも与えてくれ」
解かった、とは言わなかった。
すぐに欲しいのだ、という事は彼の言葉から解かるが、なぜそうして欲しいのかは解からないからだ。
ただ、ギルのペニスは自らの精にまみれている。
ルキアノスの手によって、たっぷりと塗りたくられて潤っているのだ。
これならば、少々無理をすれば挿入るかもしれない。
そう、ギルは考えた。
今まで何度も体を重ねてきたが、ルキアノスが受け身になることは少なかった。
そんな、あまり慣れてはいない彼の秘所にも、捻じ込むことはできるだろう。
ギルはルキアノスの顔を下に見ながら、じっくりと腰を進めていった。
苦しげに息を詰め、時折大きく吐くルキアノス。
ギルは、そんな彼の呼吸に併せて自身をゆっくりと埋め込んでいった。
「ッつ……」
「痛いか?」
気遣うギルにルキアノスは歪んだ笑顔を向け、自嘲気味に言った。
「君はもっと痛かったはずだろ? 同じようにしてくれ。頼む」
一体何にこだわっているのか。
ギルには見当もつかなかったが、痛くしてくれというのならばそうしよう。
散々責め立てられたのだ。少しくらいの復讐心もあった。
ぐ、ぐ、ぐいぃッ、と無理に奥へと進めるたびに、ルキアノスの首は反ってゆく。
息が荒く乱れ、あがく手がギルの腕を掴んだ。
腕を掴まれたまま、ギルはルキアノスの足をさらに押し広げさらに深くへ進んでいく。
ぎりぎりの深部まで届いた途端、素早く大きく引き抜いた。
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