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第五章・14

  忌々しく思いながらも、それと同じくらいの好奇心でもって、ジーグは自らの後膣に中指をそっと挿れてみた。  存外、すんなりと途中まで指を飲み込むその体は、ルキアノスの手で拓かれたものだ。  ニネットが負った傷は、彼のクローンにも表れた。  同じく、ルキアノスを受け入れ続けてきたギルの体は、その情報を俺にも伝えてきていた。  これまで、ずっと。 「だったら、あいつのモノは俺にもぴったりという事だよな」  本当に、そうなのか。  ギルが味わった官能を、俺も同じように感じるのだろうか。  そして。 「俺も、ルキアノスに好意を持つようになるんだろうか」  ひどく捻じれてはいるが、ギルはルキアノスを愛している。  それは確かだ。  だが、俺は。    ジーグは、ギルを愛している。  ルキアノスは、言わば恋敵となるのか。  それとも、俺も奴に惹かれるようになってしまうのか。  ようやく手にしたこの体で、自由になったこの身で、確かめてみようとジーグは考えここに来た。  ルキアノスに抱かれる覚悟で、ここに来たのだ。  バスローブを羽織って脱衣所を出ると、すでにルキアノスが次にシャワーを浴びる準備をしていた。 「そう急くなよ」 「え? ああ。いや、参ったな……」  早くギルをこの腕に抱きたいとの一心が、ルキアノスを急き立てる。  しかし、それをギルに指摘されたのはこれが初めてだ。  ふと違和感を感じたルキアノスだったが、次の瞬間にはすでに忘れていた。  急がなければ。ギルの気が変わる前に。  そんな風に、いつものように、ルキアノスは慌ててソープを泡立てていた。

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