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第五章・18

 全裸のジーグをベッドへいざない、自らもまた全く生まれたままの素裸でギルはジーグの隣に横たわった。  その体に腕を絡め、優しく撫でさすりながら静かにキスをした。  びくん、と反射的に震えたジーグに気を遣い、もうそれ以上唇は重ねなかった。  ただその代わり、舌を使った。  じっくりと、柔らかく、丁寧に。  ジーグの体に残されたルキアノスの痕跡を、舐めて失わせていった。  頬に耳、首筋に肩。  そこまでギルに舐めてもらううちに、ジーグはようやく人心地を取り戻していた。  あの、癇に障るルキアノスの臭いが消えていく。  ギルの匂いで上書きされていく。  ギルの髪が、胸に触れるようになってきた。  その頃にはもうジーグの体の強張りはすっかり解け、ただ快楽を感じる準備が整っていた。  ギルが舌先で、肌に埋まった乳首を掘り起こす。器用に弾き、勃たせてゆく。 「あ……、ギル……」 「ここ、気持ち悦いか?」 「ん……」  ルキアノスによって付けられたマーキングを、ギルは舐めて溶かしていった。  ジーグに残るルキアノスの刻印を、消していった。 「はぁ、ぅんッ。ギルッ。ギル、ぁあ……」  ジーグが声を洩らし、施すギルに腰を擦り付けるようになった頃、兄は弟に声をかけた。 「ジーグも。お前も私に、同じようにしてくれないか……」  ぞくりと来た。  服従を感じさせないために、ギルはジーグの上からではなく隣に寄り添って愛撫していた。  そんなギルの思いやりが解からないジーグではなかったが、つい上から口づけていた。  ギルの唇に、自分の唇を上から重ねて貪った。  ルキアノスがそうしたように、ジーグはギルの口の中まで蹂躙した。  ただ違うことは、ギルはそんなジーグを上手に受け止め、自分からも舌を絡めてきた。  互いに深く交わり、味わうキスを繰り返した。  薄く口を開けて呼吸をしている。  間もなくそれは、耐えがたい快楽の喘ぎとなるだろう。  ギルは、自分の体を丹念に開いてゆくジーグを感じながら身を引き攣らせた。 「ッあ、んぁ。は……ぁあッ」  乳輪を執拗に舐められ、声を漏らした。 「今、どんな気持ち?」  聞こえるか、聞こえないかくらいの小さな声でジーグが問う。  だからこちらも小さな声で、返事をした。 「ぞくぞくする」

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