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第五章・20
二人、我を忘れそうになるまで交わった。
我を忘れる前に、一度だけ自分に問うた。
自己愛、なのか。これは。
同じ顔を、同じ記憶を、同じ遺伝子を持つ、双子の兄弟。
互いが互いを想うのは、他ならぬ自分自身を愛するが故なのか。
違う!
私の心の欲を、恥を、汚れを、全て知っているジーグ。
その上で、私の元へ来てくれた。私を兄と呼んでくれた、かけがえのない弟。
迂闊にも自分からルキアノスに体を許した揚句、私に救いを求めてきた危なっかしい男。
「ジー……グッ。あぁ、あ。ジーグッ!」
思い切り背を反らせて、結合を深くした。ジーグを吸い尽くす勢いで、ギルは悶えた。
俺の持たないものを、どこかへ落としてきた何かを持っているギル。
突然現れ、双子の弟だと名乗る男を傍に置く甘さを持った兄。
その隙、その緩さ、その油断。信じられないお人好しで、それゆえに愛おしい男。
「ギルッ。ッ、く。ギ……ルぁ、あッ!」
思い切り腰をため、一気に貫いた。
ギルを喰い尽す勢いで、ジーグは狂った。
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