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第六章・11
何だろう、この感じは。
素晴らしい音、のはず、だ。
だが、この胸をかきむしられるような不安は一体?
ギルはそんな風に、ルキアノスよりやや複雑な思いを抱いていた。
そしてその不安に耐えきれず、圧迫してくる闇に耐え切れず、彼の唇に口づけた。
「んッ!?」
不意打ちに驚いたルキアノスだったが、彼はこんな美しい流星に、火球に。謎の音に、ギルとは違い崇高なものを感じていた。
まるで、神が俺たちを祝福してくださったよう。
そんな心地で、ギルのキスに応えた。
時間は、ほんのわずかだったはず。
だが、やけに長く感じた。
閉じた瞼に、夜景の中でも最も明るい光が戻る気配を感じた。
聖地・メインセンターの照明が、復旧したのだ。
それを合図に、二人はそっと唇を離した。
短いけれど、長かった口づけ。
そして、その時は永遠のものなのだ。
眼前には、夜景が元通り輝いている。
ルキアノスはギルの肩を抱くと、静かに押した。
「行こうか」
ギルは返事をしなかった。
だが抗うこともなく、ルキアノスと寝室へ向かった。
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