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第六章・15

 夜景も流星群も。  火球も停電も、そして不思議な聖なる響きも。  全て忘れて、ルキアノスはギルを抱いていた。 「ギル。ギル、愛してる。ギル……ッ」  初めて聞いた時には虫唾が走ったその言葉も、今では甘くギルの身を蕩けさせる。  ハァハァと口で喘ぎながら、かすれた声でギルはルキアノスの名を呼んだ。 「あ、ぁ。ルキア、ノス」  語尾はほとんど聞こえない、ギルの声だった。  だが、今のルキアノスはその自分の名を呼ぶギルの声に、眩暈を起こすほど胸が苦しくなった。  ああ、初めてこうして俺の名を呼んでくれた時は、全く小生意気に強がっていたっけ、ギル。  自分より年下だから、神騎士としても後輩だったから。  そんな理由で、あの時は俺も彼を見下していたのでは、とルキアノスは感じるようになっていた。  今はギルを大切なパートナーとして、対等の恋人として付き合っているつもりのルキアノスだ。  その甘い喘ぎに酔いながら、全身を愛撫した。  手で、指で、唇で、舌で。  時に歯を立て苛めると、切ない声が上がった。 「ッあ、あぁ! や、め……ッ!」 「やめないよ」  色にくらんだ意地悪な返事をし、ルキアノスはギルの先端部分をやわやわと噛んだ。 「んッ、ぅんッ! く、ぁあ、あぁあ!」  手では根元から肉茎をしごき、歯先で先端を噛む。  ギルのものにはローションをたっぷり塗って、その上からスキンを被せているので、ルキアノスの手が動くたびに、ぐちゅっぐちゅっと粘った音が響く。  もうその音も、手で、口でされていることも全てが恥ずかしく、ギルは固く目を瞑って耐えた。  しかし、視覚を遮断しても、耳を塞いだり触覚を失くしたりすることはできない。  思惑とは裏腹に聞こえる音が、擦られる感触が研ぎ澄まされ、快感にいっそう拍車をかける。 「あ、あぁ。ダメだ、ルキアノス。も、出……ッ!」  出してもいいよ、の合図に、ルキアノスはギルから口と手を離し、代わりに両腕で腰を支えて抱いた。 「ぅあ! ッああ、あ。あ、ぁ。ああぁ……」  思いきり体を反らせて、ギルは吐き出した。  スキンの中に溜まる、彼の白液。  それが肌に当たり、みるみる温かくなってゆく心地を感じ、ルキアノスも射精の後の安らぎに似た思いを味わった。 「どう? 悦かった?」 「……」

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