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第七章・11
「やらせろよ」
「待て。さっきまでの悩みは、どこへ行ってしまったんだ?」
ギルも小さく笑いながら腰を浮かせ、後膣へ忍び込む弟の指を受け入れる。
「ゆるゆるだな。あの弩スケベ、何発ヤッたんだ」
体内を指で掻き回され、熱い息を吐きながらベッドに崩れるギルに、ジーグは改めて被さった。
指を引き抜き、受け入れる準備の整った兄に深々と挿入っていった。
「……ッあ。ん、っあぁッ!」
「いい具合。俺のために下ごしらえしたようなもんだな、ルキアノスは」
うっとりと息を吐き、ジーグは柔らかく温かなギルの体内を楽しんだ。
やがてその内壁が締まり、きつくなってきたところで、腰を使い始めた。
「うッ、あ! あ、あぁ、はッ! ……あッ、あッ、あぁッ!」
「どう? 俺とルキアノス、どっちが悦い?」
また、そんな意地悪を。
比べようがないじゃないか!
ルキアノスに抱かれる時、ジーグの事は考えなかったギルだ。
ジーグに抱かれる時もまた、ルキアノスを思う余裕はない。
どんどん圧を増すジーグの腰に、体内を暴れる彼の分身に、ギルはただ身を任せ刹那の悦楽に浸った。
「っく、ジー、グッ。あぁ、あ。ジーグッ!」
消えてゆく。
ルキアノスの臭いが、ギルの体から消えてゆく。
「あぁ、ギル。ッ、く。ふッ、ふッ、ギルッ!」
この身体、すっかり俺の匂いでいっぱいにしてやる。
外側だけでなく内からも漂うほど、俺の匂いで満たしてやる。
ギルは、俺のものだ。
俺も、ギルだけのものだ。
ギルは俺で、俺はギルなんだ。
自分の下で啼き悦がるのは、自分と瓜二つの人間。
ジーグは、ギルと自分の境界が解からなくなるまで、ただひたすらに兄を求め続けた。
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