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第七章・12

 昨夜の流星や火球、謎の停電の事などを話しながら、聖獣・ティーの神騎士バンと、同じくスウの神騎士シドクは静まり返った回廊を歩いていた。  誰の気配もない、夜の明けきらぬ早朝。  長く伸びる回廊に、甲冑の立てる金属音と会話だけが響く。  普段は要所に配置されている衛兵の姿すら、無い。 「人払いまでされておるとは」 「やはり、重要機密が伝えられるのでしょうか」  バンとシドク、二人が法皇神殿の前まで到着した時には、すでにマーオの神騎士ニネットと、ホイのバーラが立っていた。 「教皇からの招集に、ニネットが一番乗りとは珍しい」  毎度毎度、一番最後に。しかも遅刻までして呑気に現れるはずのニネットが。  そんな彼がやけに早く、しかも神経質そうな表情で仲間の到着を待ちわびるとは。 「お前らも、なンか感じるだろぉ? 昨日までと違う何かが、聖地に起きてるって」  わずかに苛立った声色で、だがバーラの肩に手を乗せる時には穏やかに、ニネットは二人に話した。  バンとシドク、二人の神騎士に、年少のバーラがていねいに朝の挨拶をしているところに、朗らかな声が届いた。 「よかったな、ステリオス。お仲間がいたぞ」  甲冑の大きな翼をコンパクトに畳んだ状態で、聖獣ホイのルキアノスが現れた。  傍にはまだ12歳の、彼の弟・ステリオスを連れている。  ステリオスもまたバーラと同じく、年少の神騎士だ。  心技体まだ円熟してはいない年齢だが、神騎士の甲冑に主と認められたため、それを身に纏うことができる。  神騎士にだけ語られる、重大発表。  まだ幼いとはいえ、法皇はこの場に彼らを呼びつけた。  若すぎる彼らに、理解できるのだろうか、との疑問がバンやシドクに湧いた。  次々とやってくる神騎士の同士たちは、法皇の真意が解からぬまま集合し、ついには神殿の中へと招き入れられた。

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