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第七章・14
12聖獣の神殿は、元は霊峰として崇められていた土地に建造されたので、ティー神殿から始まり、次のスゥ神殿へ。また次の神殿へと進む毎に高度が上がる。
最後のホイ神殿を抜けた、最も高い位置に法皇神殿がある。
約400mの高度を誇る最後の神殿だ。
聖地のメインセンター敷地内に造られた、12聖獣の神殿。
いや、その逆だ。
法皇神殿を含む13神殿に近い場所に、メインセンターが造られたのだ。
神話の時代より受け継がれてきた、聖なる地。そこを守護する12神殿をさらに守るため、メインセンターを始め様々な施設が造られた。
今もなお、古代の教えが説かれるその場所を、人類の英知を結集した最新の科学力で管理する。それが、ファタルの聖地だった。
「さて、まもなく日が昇る。聖地が、真の姿へと変化する瞬間を、身をもって知るがいい」
教皇の言葉に、一同は気を引き締めた。
何が起きるというのか。
解からない。
だがそれは、おそらく昨晩の異変と密接な関係を持っているに違いない。
そしてそれを、全て御存じなのが法皇なのだ。
我らの進むべき道を、未来を示してくださるのが、法皇という存在なのだ。
東から白み始めた空をぐるり見渡しながら、誰もがそう思っていた。
難しいことを考える大人たちの中、まだ幼いステリオスとバーラだけは無邪気に曙の美しい空を喜んでいた。
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